子どもに「目の検査」を不安がらずに受けさせるコツ
子どもは、じっとしていることが苦手です。静かに集中できる時間は短く、すぐに飽きてしまいます。日常でもそうなのですから、病院という非日常の環境での検査となれば、なおさら不安感から落ちつきがなくなってしまいます。これが、子どもの検査を難しくしている要因でもあります。
例えば、視力検査にしても4~5歳以下の子どもでは、まず1回で正確なデータを取るのは困難と言わざるを得ません。そこで、今日は右目だけ、次回は左目からというように、2~3回に分けて行うことが多々あります。大事なことは、「検査イコール怖いもの」というイメージをもたないように、いかに楽しく進められる環境をつくるかということ。
ですから視力検査の際にも、ランドルト環の輪っかを子どもに持たせて「車の運転みたいで楽しいね」と声を掛けながら、ゲーム感覚で目の前の画面に映し出されたランドルト環と同じ向きに合わせてもらったりしています。
もう少し大きくなった子どもには、左右を言葉で言うのはまだ難しいので、通常のランドルト環を見せて指で開いたところを示してもらいます。
こうして、上手にできたときには「よくできたね、すごい!」と褒めてあげます。実は、この「褒める」ことも子どもに自信をつけさせ、次回の検査でも頑張る原動力になるのです。
ところが、子どもができないことに、親のほうが焦ってしまうことが多々あります。親の感覚から「検査は簡単なもの」と思っており、子どもがうまくできなかったり時間がかかったりすると、つい怒ってしまいます。時には、次の予定を入れているのに間に合わないと、イライラしています。
こうした親の気持ちが子どもに伝わって委縮させたり、検査自体を嫌がって泣いたり、怖いと感じて病院嫌いにさせてしまうことがあります。
また、検査を行うにあたって目薬を差すことがあります。このときに「痛い」と感じる子どもがいるのです。ふだん目薬を差すことがないので、この刺激を痛いと認識してしまいます。
大人からすれば「どうして痛いの?」と思いますが、子どもは感覚に対しても未発達のため、脳が正しく判断できずに「痛い」と「痒い」の区別がつきにくくなっています。それに加えて語彙も少ないために、両者の感覚を同じように表現します。つまり、痒いとか違和感があるなど不快な症状は、すべて「痛い」という言葉で表します。
本当は痒いのに子どもは痛いと言いますが、実際に診てみると高い確率でアレルギー性結膜炎なのです。これも成長過程に見られる普通のことですが、理解していないと親は子どもが痛がっていることで「どうしよう」と、冷静さを失ってしまうことも見られます。
親は、これまでの経験で検査がどういうものかを知っていますが、子どもはそうではありません。非日常であり、検査機器はまさに未知との遭遇です。まず検査を理解していないところに、初めて検査機器を目にすれば不安になるのも当然です。
このようなことからも、子どもの検査では親の協力が不可欠なのです。検査のなかには、機械に顔を乗せて行うものがあります。
子どもは目の前に何かがあると怖がって泣いてしまう傾向があるので、不安を取り除くためにも母親が先に機械の中をのぞいて手本を見せてもらいます。それを子どもにマネしてもらうと恐怖感が薄らぎ、親子で「気球が見えたね」「今度の検査は何が見えるのかな」などと会話をして、楽しみになるように親が盛り上げてくれます。
そうすると、子どもは病院や検査に対して嫌なイメージをもたなくなります。また、子どもの成長は目覚ましいものがあり、前回できなかったことが、今回は一気にできるようになっているなど、回を重ねるごとに検査のできる幅が広がっていきます。それを目のあたりした親も驚き、「ここまでできるようになった」とうれしそうにしています。
これは眼科に限らず、子どもの検査には時間がかかることを親は理解して冷静になり、1回では終わらないと心得ていただきたいと思います。特に病気が見つかったときには長丁場になることがありますから、早い段階で検査を楽しめるように導く工夫が必要となります。
これには視能訓練士の役割も大きく、子どもの扱いに慣れている人ではスムーズに検査が進み、正確なデータが取れるから不思議です。
また、子どもの成長には個人差があります。同じ年の子どもでも、すんなりと検査が進むことがあれば、まったく進まないこともあります。そのとき、ほかの子どもと比較しないことも大切です。
星合繁
ほしあい眼科院長
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