見えづらい状態で生活していると、視覚機能に悪影響
発達途上にある子どもの目には、見る環境が大きく影響してきます。いろいろな物を見る経験を通して視覚機能を成長させていきますが、それには見ている物にきちんとピントが合っていることが何より重要です。
なぜなら、ぼやけた像を脳に送り続けていると、物の認識をしづらくなることで脳が活発に働かなくなってしまうからです。これが、視覚機能の発達を妨げることとなり、一生見えづらい状態で過ごすことにもつながります。
その代表例として挙げられるのが“メガネ”です。子どもの視力が低下してくると、メガネが必要になります。そのとき「小さい子にメガネをかけさせるのは良くない」とか「小学生でメガネをかけさせるのはかわいそう」という声が、親や祖父母から聞こえてきます。
しかし、見えづらい状態で生活していることのほうが、子どもの目に負担をかけるばかりか、かえって視覚機能にも悪影響を与えることになります。
視覚は、環境を認識する情報の約80%を占めているため、もしも病気やケガなどで視覚に問題が生じれば、外界から得る情報量は一気に減少してしまいます。
それにもかかわらず、見えづらい状態を改善しないままでいれば、子どもは「正しく見えている状態」に慣れていないため、違和感をもつことはありません。これが、ますます視覚機能の発達にブレーキをかけることとなります。
見えづらい状態は、例えば授業中に黒板の文字が読めない状況をつくり出し、それがストレスとなって授業に集中できない事態を招きます。これが学業の低下につながりますから、こうしたことが起こるほうが子どもにとっては不幸であり、かわいそうなのではないでしょうか。
目に合ったメガネをかければはっきり見えるようになることで、授業にも集中できるようになります。これが視覚機能の発達や、見えないことで生じるストレスを軽減させることにもなるでしょう。
このようなことから、目の発育を促すためにも、視力を補うために必要であるならメガネをかけ、はっきり見えるようにすることが大事です。正常な目の発達によって目からの情報を正しく受け取ることが、健やかな知的・身体的発達にもつながります。
目は機械ではないので取り換えが利きません。悪くなっても、それを一生使うしかないのです。少しでも良い状態を保って目を使い続けるためには、その基盤をつくる子どもの時期にしっかりとケアをしておく必要があります。
この時期に子どもの目の成長を促す適切な対策を講じておくことが、将来の「見る力」を育てて「見える目」を子どもに授けることにつながります。
では、子どもにメガネをかけさせるタイミングは、いつが良いのでしょう。
これは、学校健診などを利用しながら検討するのが良いと思われます。その目安としては、裸眼視力が0.7以下になったときに検討することです。
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