「色覚異常」の原因と症状、治療方法は?
周りの物がどのような見え方をしているのかは、本人にしか分からないことですから親であっても気づいてあげられません。けれども、普段から子どもを注意深く見ていると、外に出るとまぶしそうにしていたり、最近よく物にぶつかって転んだりするなど、兆候が見られることがあります。
また、左右の目の開き具合が違うとか、目が小さい、瞳の色が薄いなど、外見的に「おかしい」と異変に気づけることもあります。
ほとんどの人が会話をするときには、相手の目を見て話したり聞いたりしています。ですから子どもに対しても、同じ視線で目を見ながら話をする習慣をつけることで、ちょっとした変化も見逃すことなくキャッチできると思います。
そこで、子ども自身は気づいていなくても、親や周りの人が気づける病気を解説していきます。
【気づきやすい病気】
■色覚異常
[どんな病気?]
物を正常に見るためには、主に視力・視野・色覚の3つの機能が必要ですが、このうちの色覚に異常がある状態を「色覚異常」といいます。これは、色を認識する視細胞の機能が低下し、感知できる光の情報が部分的に不足していることで色を識別しにくくなっていることです。そのため、大多数の人とは異なった色の見え方をしています。
色覚異常には、生まれつき異常がある「先天色覚異常」と、ほかの目の病気の一つの症状として色覚に異常が出る「後天色覚異常」があります。子どもの場合は、ほとんどが先天色覚異常で自覚しにくいことが多く見受けられます。
先天色覚異常は、昔は「色盲」と呼ばれていました。そのためにまったく色が分からないと誤解されがちですが、ほとんどの場合で色が分からないことはありません。色覚異常には「1型色覚」「2型色覚」「3型色覚」があり、タイプによって色の見え方が違ってきます。
・1型色覚:赤に敏感な視細胞の機能に異常があります。
・2型色覚:緑に敏感な視細胞の機能に異常があります。
・3型色覚:青に敏感な視細胞の機能に異常があります。
区別が付きにくい色の組み合わせは、茶と緑、緑と灰色・黒、赤と黒、オレンジと黄緑、ピンクと灰色・白、ピンクと水色、赤と緑、青と紫があるといわれています。多くは先天赤緑色覚異常といわれるもので、日本では男子では20人に1人、女子では500人に1人といわれています。
現在は進学の際に、色覚異常を理由に入学を拒まれることはほとんどありません。しかし、仕事の特性上、正確に色を識別する必要のある職種の場合は、その程度によって就職の際に制限を受けることがあります。
[原因]
先天色覚異常は、劣性遺伝することが分かっています。劣性遺伝とは、両親から受け継いだ遺伝子の2つの型のうち、特徴が現れにくい遺伝子のことをいいます。決して劣っているという意味ではありません。
X染色体には色覚に関係する遺伝子があり、男子の場合は母親からX染色体を受け継ぐので、母親のX染色体に色覚異常の遺伝子があれば色覚異常になります。女子は両親から一つずつX染色体を受け継ぐので、片方のX染色体に色覚異常の遺伝子があれば保因者に、両方のX染色体にあれば色覚異常になります。これは、色を感じる視細胞を作る遺伝子がX染色体には少ないため、欠損すると色の識別がしにくくなるからです。
[症状]
軽度から重度まで程度はさまざまです。
〈軽度の場合〉
多くの場合で本人は気づいていません。学校健診で指摘されて気づきます。
〈重度の場合〉
幼少より人と色の感じ方が違うと本人も気づきます。例えば、緑の黒板の赤い文字が読めない、強調のために書かれた赤い文字も黒い文字と同じに見える、仕切り線が入っていないと円グラフが読み取れない、描いた絵の色使いがおかしいと人から言われたなど、色の誤認が起こります。
[検査]
色覚検査表を用いた検査(石原色覚検査表・標準色覚検査表)など。
[治療]
有効な治療法はありませんが、色の付いたメガネをかけることで見える色が出てくることもあります。
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