子どもが気づける目の病気「近視・遠視・乱視」の症状
子どもがケガをしたり、体のどこかが腫れていたりなど外見的な変化であれば、親はもちろん周りの人も気づくことができます。見た目では分からなくても、熱があれば苦しそうにしていたり、体に触れると熱かったりして、その症状から子どもに起きている異変に気づけると思います。ところが、視覚に関しては親でもなかなか気づけません。
しかし、4~5歳になれば視力は1.0以上になるので、そこから見えにくくなれば、子どもでも多少は以前との異変に気づくことができます。それをうまく表現できなくても、「目がおかしい」とか「見えない」「月が2つある」というように何らかのサインを親に送ってきます。
その言葉に耳を傾けて見逃さなければ、子どもの目の異変に気づくことができます。そこで、ここでは子ども自身で気づくことができる目の病気について解説していきます。
【よくある目の病気】
■近視・遠視・乱視
[どんな病気?]
目は、近くを見るときには水晶体を厚くし、遠くを見るときには水晶体を薄くして光の屈折率を変えています。こうして水晶体の厚さを調節することで、見ている物にピントを合わせています。
通常、私たちの目は5m以上離れた物を見ているときは、水晶体の厚みを調節しないで見ています。この状態で網膜にきちんとピントが合う屈折の状態を「正視(せいし)」といい、視力が1.0以上であれば正常です。この調節がうまく機能しない状態を「屈折異常」といい、これには近視、遠視、乱視があります。
近視は、遠くの物を見るときにピントが網膜上で合わず、網膜の手前で像を結んでしまう状態です。一般的に新生児や乳児は遠視ですが、学童期には近視になるケースが少なくありません。特に日本人の場合は、人種的に近視になりやすいといわれています。
近視といっても、程度や状態によっていくつかに分けられます。近視が強くなるほど裸眼でピントが合う距離がどんどん目に近づき、およそ15cmより遠くがぼやけてしまうような強い近視のことを「強度近視」といい、強い近視の影響で目の奥に異常が出てくると「病的近視」と呼ばれます。
遠視は、近視とは逆に網膜の後ろで像を結んでしまう状態です。一般には遠くがよく見えるので、遠視は目が良いと勘違いされがちです。しかし実際には、近くにも遠くにもピントが合わず、はっきりとは見えていません。
ただ、目には調節機能がありますから、遠視の程度が軽ければ調節機能によって水晶体を厚くし、網膜の後ろに来ているピントを網膜上に合わせてはっきり見ることができます。そのため、遠視の人はよく見えると思っています。
けれども遠視の度が強いと、調節の働きを借りてもピントをうまく合わせきれなくなって視力が落ちていきます。また、軽い遠視で調節によってピントを合わせることができても、いつも調節した状態にあるので目が疲れやすくなっています。
これらに対して乱視は、光を屈折させる角膜に歪みがあるために光が一点に集まりません。縦方向や横方向の屈折率が異なり、結ぶ像の位置が変わってしまう状態にあります。そのため、網膜上に焦点が合わず、物の距離に関係なくピントが合わなくなり、全体的にぼやけて見えたり、物が二重に見えたりすることがあります。
それだけではなく、多くの場合で近視や遠視を合併しており、それぞれを「近視性乱視」「遠視性乱視」などといいます。
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