世の中にあふれる投資の本や投資セミナーの通りに株や債券を買うと損をする人が多い理由について、江戸時代から伝わる相場に関する格言を使って説明します。

昔も今も本質が勝ちをつかむカギ

 

江戸の相場師も現代のバフェットも、「本質」を見極めた投資で成功した

 

さて、江戸時代の相場師からちょっと離れて、ここでは現代の著名な投資家の話をしたいと思います。

 

名前を聞いたことがある人も多いと思いますが、ウォーレン・バフェットについてです。1930年に米国ネブラスカ州に生まれたバフェットは、投資会社バークシャー・ハサウェイの会長兼CEOであり、世界一の投資家、また世界屈指の資産家として知られています。

 

莫大な資産を築いたバフェットの投資手法は、一言で説明すると「バリュー投資」です。悪材料が出るなどの理由で一時的に株価が下がり、割安な水準になっている優良銘柄に目を付けて、その銘柄に集中投資します。基本的には長期投資で、「価値がある」と思って購入した銘柄はじっくりと長い期間保有し、大きな値上がり益と配当を狙うという手法です。たとえば、米国コカ・コーラやアメリカン・エキスプレスが、「バフェット銘柄」として知られています。

 

私は、このバフェットと、本間宗久、牛田権三郎という二人には、確固たる共通点があると考えています。

 

もちろん、株式市場と米相場ですから具体的な投資手法は異なっています。そもそも米相場には米の「現物」か「先物」の2種類しかなく、銘柄選択というバフェットの投資で重要とされる部分がありません。しかし、どちらも小手先のテクニックではなく、「本質」にフォーカスした投資をしているという意味では同じだと考えるのです。

 

バフェットが注目するのは「企業の本質」です。目先の株価の動きを追って売買を繰り返し細かい利益を積み重ねるのではなく、本質的に価値の高い企業をじっくりと見極め、最適なタイミングで投資することに注力していて、それが成功につながっています。

 

一方の本間宗久や牛田権三郎は、常に「相場の本質」に目を向けています。相場を形成している相場参加者の心理を見極め、ここぞというタイミングで資金を投じる。投資期間こそ短期の場合もありますが、やはり慌てて売り買いするようなことは戒めています。

 

また、小手先のテクニックは時代とともに有効な手段が変わっていきますが、「企業の本質」や「相場の本質」という「本質」の部分は、いつの時代にも通用します。「本質」に目を向けた投資だからこそ、江戸の相場師二人もバフェットも大きな利益を得ることができたのだと考えます。

 

「相場の本質」を知って取引に臨み、大きな成功を収めた本間宗久と牛田権三郎は、まさに「江戸のウォーレン・バフェット」と言えるでしょう。

 

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本記事は、『「江戸のウォーレン・バフェット」に学ぶ 常勝無敗の株投資術』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。

「江戸のウォーレン・バフェット」に学ぶ 常勝無敗の株投資術

「江戸のウォーレン・バフェット」に学ぶ 常勝無敗の株投資術

清水 洋介

幻冬舎メディアコンサルティング

「どうもうまくいかない」「なかなか儲からない」これこそ株式投資で誰もが必ず直面する問題……。 そんな悩みを解決すべく、時代を超えても通用する、先人たちの投資成功術をまとめた一冊。 どんな時代にも通用する「株式投…

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