思ったより母親の遺産額が少ない…妹の疑問に対し嫁は
思わぬ問題が発覚したのは、母が亡くなった直後のことです。葬儀も無事に終わり、母の遺産分割について話し合いの席が設けられました。
集まったのは、Aさん・Aさんの妻・Aさんの妹・Aさんの義弟(妹の夫)の4人です。そして、場の主導権を握ったのは、母の通帳を管理していた妻でした。
Aさんの妻「お母さんの遺産は、実家と貯金だけ。金額はこの通帳にある通りよ」
妹「え、でもこれ、おかしくない?」
机の上には2冊の預金通帳が置かれました。1冊には1,000万円ほどの金額が記されていますが、もう1冊の預金はほぼゼロ。妹が疑問の声を上げると、妻は平然と話しはじめます。
Aさんの妻「ああ、それは貯金用。2冊目は生活費用だったの。それで減っちゃってるみたいなのよ」
Aさん「そういう話はちゃんと初めにいってくれないと、皆が混乱するだろう」
義弟「そうなんですね……でも少し気になることがあるんです。生活費用にしても、こんなに頻繁に大金を引き出す必要はないですよね?」
義弟が『生活費用』の通帳をぱらぱらとめくりながら言葉を続けます。誘われるようにAさんも覗き込めば、たしかに何度も引き出した跡がありました。それも毎回数十万円ずつという、とても放ってはおけない額です。
Aさん「こんなにも……全部足したら、えっと(計算中)……4,000万円以上じゃないか! 何にそんな使うことがあるんだ!?」
Aさんの妻「お義母さんの通帳なんだから、お義母さんが自分で使ったに決まってるじゃない」
Aさん「だけど、母さんは施設に入ってたんだぞ! 頻繁にこんな大金、使い道がないだろ!」
妹夫婦「ちょ、ちょっと落ち着いて!」
その後何度も問い詰めるも、妻は「知らない」の一点張りだったそうです。結局どうしようもないと、自宅は売却したうえで遺産は等分することになりました。
しかし関係者全員が多忙だったとはいえ、早急に決着させずもっと吟味すべきだったとAさんは後悔の念を吐き出します。
「考えてみれば、施設の利用料は引き落としになっていましたし、母さんの通帳からそれ以上のお金が出ていくわけないんです」
そのあと税務調査が入り、妻による母の貯金の使い込みが明るみになります。妻がAさんの母の通帳から勝手に引き出し、住宅ローンの返済に費やしていたのです。
Aさんの妻「だって、この家(=Aさん夫婦が住んでいる家)の半分は、お義母さんのものなんだから、おかしいことなんてないじゃない」
この段階になって、母から資金提供を受けて家を購入したにもかかわらず、何も申告していなかったことが判明。Aさんは妻に任せっきりで、母から贈与を受けたことは知っていましたが、税の申告をしていなかったことは知らなかったといいます。しかし時すでに遅し。言い逃れのできない状況となってしまいました。
「地獄ですよ……。いきなり、こんなに税金を払わないといけなくなるなんて。きちんと見張っていなかった僕も、自業自得かもしれませんが、後悔してもしきれませんよ」
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