孤独は幸福感や充実感、健康にまで影響をおよぼす
「老後が不安」は
「お化けが怖い」と同じ
生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」(2019年)によれば、84.4%の人が老後生活に不安をもっています。男性は81.9%、女性だと86.4%という結果になっています。平均寿命が長いせいか、女性のほうが不安に思っているようです。
メットライフ生命の「老後を変える全国47都道府県大調査」(2019年)では、81.5%の人が老後に不安を感じていて、その不安の中身は、1位が「お金」、2位が「健康」です。
また、セコムの「老後の不安に関する意識調査」(2018年)では、不安を感じている人は87・2%となっています。こちらは「病気やケガなどの健康不安」が1位、「経済的な負担に関する不安」が2位でした。
前述したBIGLOBEのアンケートでも、約8割の人が不安を感じており、「お金」「健康」「介護」などを挙げています。
どの調査も似たような結果です。ここからわかることは、ほとんどの人が老後に対して不安を抱いていること。そして、不安の大きな要素は「お金」と「健康」であることです。
では、どうして不安を感じるのでしょう。
私は「老後の生活がイメージできていないから」ではないかと思います。現役時代は、会社にいってあれとこれをやって、来年は息子が受験だから準備をして……と、だいたい想像がつきます。しかし、80歳、90歳になった姿は、なかなか想像しにくいですよね。
正体がわからないから怖いのです。それは「お化けが怖い」と同じ感覚ではないでしょうか。「あそこで揺れているのは木の枝だ」とわかれば、恐怖は消えます。
つまり、老後の正体を知る、イメージすることができれば、怖くなくなるのです。
そのためには、老後生活の「可視化」が必須です。先々がイメージできるので、どうしたらいいのかが見えてきます。とくに、お金は可視化しやすい分野です。
不安がるばかりで問題を先送りにしても、何の解決にもなりません。それどころか、老後生活を悪化させかねないのです。
避けて通ることができない道なら、早めに手を打っておくのが得策です。
お金と健康だけではダメ。
「生きがい」も大切です
定年後は、お金と健康、命のバランスを取りながら生活していくことが大事です。
そして、もうひとつ。忘れてはならない重要なポイントが「生きがい」です。
老後生活では「孤独」が大きな問題となります。孤独は、幸福感や充実感、健康にまで大きな影響をおよぼすのです。
「お金」「健康」「生きがい」の3つが、老後生活をバラ色に変えるキーワードといっていいでしょう。
長尾 義弘
ファイナンシャルプランナー
AFP
日本年金学会会員
福岡 武彦
1株式会社ライフエレメンツ代表取締役
税理士
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