「人生100年時代」といわれています。22歳から65歳まで現役で働いていた時間よりも、定年後の時間のほうが長いのです。定年後の避けては通れない課題は「お金」「健康」「生きがい」。これが定年後の3大リスクです。この「3大リスク」をうまくクリアできれば、第二の人生をバラ色にすることがきます。本連載は長尾義弘・福岡武彦著『定年の教科書 お金 健康 生きがい』(河出書房新社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

「第二人生」をバラ色に変える方法とは

定年後は「余生」ではなく、「第二の人生」だ!

 

老後を「余生」なんて思っていると、「こんなはずじゃなかった!」ということになります。

 

昭和の時代ぐらいまででしたら定年後を「余生」という表現も、ある程度当てはまっていたかも知れません。しかし、平成・令和は「余生」なんて思っていると、とんでもないことになります。

 

後悔をしても、遅いのです。

 

どうして、以前は「余生」でもよかったのが、いつの間にか「第二の人生」になったのか? 考えてみたいと思います。そして、「第二の人生」をバラ色に変える方法を考えていきましょう。

 

この50年で老後生活は16年延長されたという。(※写真はイメージです/PIXTA)
この50年で老後生活は16年延長されたという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

昭和の時代は、「老後生活」は短かった!

 

国民的漫画の「サザエさん」をご存じだと思います。朝日新聞で、昭和26年から何度か休載はありましたが、昭和49年まで連載が続けられました。

 

サザエさんの父、「磯野波平」の年齢が54歳という設定になっているのをご存じでしょうか? 今の54歳の人に比べるとかなり老けているような印象を受けます。

 

昭和30年というのは、55歳が定年です。ちなみに55歳定年制は、1994年に改正高年齢者雇用安定法が60歳未満の定年が原則禁止になるまで続きました。

 

昭和30年から昭和45年の平均寿命を見てみると、下記のようになります。

 

1955年(昭和30年)男性63.60、女性67.75

1960年(昭和35年)男性65.32、女性70.19

1965年(昭和40年)男性67.74、女性72.92

1970年(昭和45年)男性69.31、女性74.66

 

定年が55歳で、1960年の平均寿命は約65歳ですので、老後の期間というのは約10年です。

 

50年間で老後生活が16年延長になった!

 

2020年は長寿化が進んでいて、65歳以上の高齢者が総人口に占める割合は28.4%です(総務省「人口推計」2019年)。

 

現状は、60歳定年が一般的で、65歳までは再雇用として働くというのもめずらしくありません。一方、平均寿命は延びて、男性81.41歳、女性87.45歳です(厚生労働省「簡易生命表」2019年)。また男性の4人に1人は、90歳まで生きるのが平均です。

 

90歳まで生きるとしたら、65歳で再雇用が終わってから25年間あります。そして90歳に近づく頃にはさらに平均寿命が延びると予想されます。

 

1960年(昭和35年)の時代と50年後の2020年の定年後を比較すると、平均寿命は16年延びています。老後生活が16年長くなると言うことです。このことが老後生活に対してどんな影響を与えたのか、そして、どんな不安(リスク)があるのかを「お金・健康・生きがい」について検証してみましょう。

 

次ページ長生きすることによる3つのリスクが顕在化
定年の教科書 お金 健康 生きがい

定年の教科書 お金 健康 生きがい

長尾 義弘 福岡 武彦

河出書房新社

「人生100年時代」といわれています。22歳から65歳まで現役で働いていた時間よりも、定年後の時間のほうが長いのです。第二の人生を余生などと思っていると、大変なことになります。 この長い時間を生きるのに、年金だけの「…

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