ごみが散乱、サビだらけ…「社会的迷惑物」の成れ果て
共用部の固定資産税など納税の不払などの問題も噴出してきます。しかし、登記上所有者は存在しますので、あくまで責任は、その区分所有者となります。死亡や所有者不明でも所有者なしではあり得ませんので、区分所有者責任はズーッと付いて回ります。
共用部分の税金不払いや空き住戸の税金不払いは、社会的責任にも抵触してきます。
◆ゴーストマンションは居住者のみではなく社会的にも迷惑物になる
建築基準法第8条に定める、所有者による建築物の維持保全の努力義務以外、法令違反をしている訳でもなく、私有地内のことであるので他人からとやかく批判されることはない、と思われるかもしれませんが、これだけでは済まなくなります。
無秩序な佇まいや生気のないマンションは、部外者による不法占拠や犯罪の温床にもなりかねません。想像してみてください。ごみが散乱していて、建物周辺の植栽などの手入れもなく、集合郵便受けなどの鉄部のサビもそのまま放置され、洗濯物が干されていないバルコニーが多数みられるマンションの姿を。
周辺社会にとって、荒廃状態が際立った建物やそこに住む住民は、良い印象をもたれるどころか迷惑な存在になりかねません。
周辺社会の評判が、住宅地の価値を低下させることになります。自然災害にも弱くなっているでしょうし、災害発生時に、倒壊や落下物などで道路を塞いだりして、周辺住民の皆様の避難経路や退避経路を阻害したとなると、その分譲マンションの理事長など管理者の管理不足で、公共に損害を与えた罪で、犯罪にもなる可能性が考えられます。
当該分譲マンションの管理されていない不全状態自体が、公共の秩序に悪い影響や損害を与える状況に、罰則を設ける必要があるかもしれません。
しかし、残念なことですが、このような分譲マンションは、自ら解体とか回生のための改善は、期待できない状態に陥っているのです。正常な管理状態に戻すことも不可能に近く、かといって管理組合の解散や建物の解体が、自力でできる体力も気力もない区分所有建物に陥っているのです。
生きることも死ぬこともできない状態の分譲マンションを、漂流廃墟マンションと呼んでいます。結局、未然に防ぐ対策を講じる以外、解決の方法は見つからないと思います。
※本記事は連載『分譲マンション危機』を再構成したものです。
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