ある日突然、老親が緊急搬送で入院という事態が起こります。介護は毎日のことなので、使命感だけでは長続きはしません。10年以上、仕事をしながら父母の遠距離介護を続けてきた在宅介護のエキスパートは、「介護する人が幸せでなければ、介護される人も幸せにはならない」と訴えます。入院や介護に備え、知っておきたい制度やお金の話から、役立つ情報、具体的なケア方法までを明らかにします。本連載は渋澤和世著『親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…』(プレジデント社)から抜粋し、再編集したものです。

「アイスクリームが食べたい」父の一言に心残り

エピソード

 

インフォームドコンセントは、主治医の都合に合わせることが多いのですが、夕方何時以降、土曜日など希望は聞いてもらえました。片方の親がいても高齢になっている場合は、ひとりで対応させず、自分の予定がつかなくても、ほかの家族(大学生の子どもなどに頼んだことも)が同席して必ずふたり以上で聞くようにしています。

 

渋澤和世著『親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…』(プレジデント社)
渋澤和世著『親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…』(プレジデント社)

父の死に関して、インフォームドコンセントにひとりで対応したことで、今でも後悔していることがあるからです。父が高熱を出しているとケアマネージャーから連絡をもらい、仕事から帰宅後、車で駆けつけました。そのとき、静岡の主治医よりふたりで生活するには限界と忠告を受けました。

 

すぐに私の住む川崎へと一緒に連れて戻るのですが、いろいろと準備に時間もとられ午前3時、真夜中の移動でした。父が「アイスクリームが食べたい」と言ったのですが、東名高速で向かう途中のサービスエリアも閉まっています。「わがまま言わないで」とそのままになりました。

 

朝になり、家にあったゼリーを食べさせてすぐに病院へ。体力が衰えていた父は肺炎を発症していたのです。腕の血管に限界を感じ、鎖骨下の血管に点滴用のポートを埋め込むことへの提案と同意を求められました。口から食べ物がとりにくくなっていたので、これしか選択はなかったのかもしれません。この方法を選択しても回復すれば点滴は外せますが、父の場合は、明らかに日に日に弱くなっていきました。

 

もう口から食べ物をとれなくなるのだな、家に連れて帰ることは難しくなるのだなと直感しました。父の所に寄って「治ったら、一緒に暮らそう」と声をかけました。「一緒に暮らすのか」とポツンと言い、笑って目を閉じた父のことが頭に残り涙が止まりません。寿命といえばそれまでですが、父は入院後1か月もたたずに息を引き取りました。

 

私はそのとき、セカンドオピニオンなど頭にもなかったのです。アイスクリームを食べさせてあげたかった。父の7回忌が終わっても、いつまでも心残りな出来事です。「ごめんなさい、お父さん」と、あの世で一言伝えたいと思っています。

 

渋澤 和世
在宅介護エキスパート協会 代表

 

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