長い老後生活を安心して送るには、資産形成が不可欠です。しかし、その実現にはさまざまなリスクが付きまといます。市場変動リスクをはじめ、貯蓄不足リスク、長生きリスク、インフレ・リスク…。本記事では、老後の資産管理にとって最も考慮すべき「長生きリスク」の対処法を考察します。資産運用会社のアライアンス・バーンスタイン株式会社で運用戦略を行う後藤順一郎氏が解説します。

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老後資金の問題も、ある程度の運用益があれば…

では、このような長い老後に対応するにはどうしたらいいのでしょうか? 19年に「老後2,000万円問題」がありましたが、65歳の定年退職時に2,000万円の貯蓄がある場合を例に考えてみましょう。

 

老後にゆとりある生活をするには、公的年金以外に必要な金額は毎月8万円程度とされています(ゆとりある生活に必要な資金は34.9万円、夫婦共働きの場合の平均的な厚生年金は26.9万円、差額は8万円)。もし運用しない場合、資産は86歳くらいで枯渇してしまいます。女性の4人に1人が95歳まで生きる時代において、86歳で資産が底をついてしまうのは望ましくありません。

 

資産の枯渇を回避するには、貯蓄不足リスクと同様、市場変動リスクを多少取ってでも運用リターンを高める努力が必要になります。

 

では、運用しながら毎月8万円を引き出した場合、資産は何歳まで持つのでしょうか。リスクをとった結果、運用リターンが1%になれば、資産は89歳まで持ちます。3%なら98歳くらいまで資産が長持ちするようになります。

 

このように、多少の市場変動リスクを取ってリターンを高めることができれば、長生きリスクを減らすことができるのです。だからといって、老後に高い市場変動リスクを取りすぎるのも問題ですから、貯蓄不足リスクの時と同様、長生きリスクと市場変動リスクのバランスを考慮して運用すべきでしょう。

老後プランは「95歳以上まで生きる」ことを前提に

ここまで老後を30年程度としてお話してきましたが、実際にはもっと長い期間を考えたほうがいいのかもしれません。なぜなら、日本人の平均寿命は着々と伸びているからです。

 

今の65歳の男女の平均余命はそれぞれ85歳/90歳かもしれませんが、これから65歳になる若い世代の平均余命はもっと伸びるでしょう。そんな中で今後も95歳が適切かというと疑問が残ります。人口動態は予測精度が高いため、予測値を踏まえて95歳以上まで生きることを前提に老後のプランを検討したほうが賢明と言えます。

 

その際、運用リターンを高める努力をするのはもちろんですが、それだけで長期化する老後に対応するのは難しいため、引退時期を遅くするなどの対策も併せて講じる必要があるでしょう。

 

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アライアンス・バーンスタイン
後藤順一郎

 

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※本記事は「ニッキン投信情報」に掲載されたコラムを転載・再編集したものです。

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