国民の約10人に1人は分譲マンションで生活している今、マンションに住む人たちは大きな危機に瀕している。老朽化と大規模修繕、管理組合との付き合い、住民の転居と高齢化……。マンション購入時には明かされない課題を解説。 ※本記事は幻冬舎ゴールドライフオンライン掲載の書籍『分譲マンション危機』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。

長年置き去りにされてきた、「ひとつの事実」

◆ゴーストマンション化の原因を考える

 

根本的な原因は、今から考えると、新築当初の販売時点にあったかもしれません。皆様は、分譲マンションの売買契約時点で、いろいろ手続きなどの説明を受けたと思いますが、抜けていたことがふたつあると考えています。ひとつは「建物全体の耐用年数」の話と、もうひとつは「建物解体」の話です。

 

販売会社が悪いとかということではありません。大規模修繕計画書及び修繕積立金の根拠となる、屋上防水層や外壁塗装などの修繕周期などは説明してくれますが、建物全体の耐用年数の話とか建物解体の話は、今後50年とか60年先の話であり、新しい建物で新しい生活が始まる時に、伝える内容ではないと思われます。

 

売買契約により、所有権が皆様に移りますが、販売会社は、マンション管理組合の立ち上げ支援や、これからの生活維持のための管理費や修繕積立金の金額まで教えてくれます。しかし、一旦、所有権が移ると、住人の方が考えることかもしれませんが「建物全体の耐用年数」と「建物解体」には触れていません。

 

このことが置き去りにされてきたことが、原因のひとつだと思っています。しかし、今となっては、区分所有者の皆様で対処していかなくてはなりません。不動産といえども分譲マンションは、耐用年数が存在する、有時限財産であると理解しなければなりません。

 

もうひとつの原因ですが、管理不全マンションに陥ったとしても、これといった明確な現象や痛みはないに等しい、というように自覚症状がなく、世代を超える長きにわたる蓄積で、ジワーと押し寄せる現象であり、目に見える変化はないに等しいのです。

 

管理組合の運営にしても、理事会の活動にしても、今後十数年先までの財産保全管理に終始していて、マンション建物の一生涯の期間全体の財産管理や、一生涯にわたる維持管理の計画はなく、区分所有者から徴収する修繕積立金についても、究極的には、建物の維持管理をいつまで継続するのか、更に、解体費用の準備などの概念はなく、十数年先までの修繕工事が計画されている長期修繕計画書とその修繕積立金のみが検討されており、その先のことは計画がなく、曖昧のままであったのです。今でもそうです。

 

これがゴーストマンション化の原因であると考えています。

 

 

※本記事は連載『分譲マンション危機』を再構成したものです。

 

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分譲マンション危機

分譲マンション危機

小林 道雄

幻冬舎MC

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