
住まいの「経年劣化」は避けられないもの。古くなったマンションを目の前にした住民の選択とは? ※本記事は、2017年12月18日刊行の書籍『改訂版 マンション管理組合理事になったら読む本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
築50年のマンション「建替え」か?「修繕」か?
日本のマンションの歴史は半世紀を超えたところですから、現状で新築から50年を経たマンションはそれほど多くありません。しかし、これからは一気に増えていくことになります。その築年数にさしかかろうという大規模修繕工事を検討するにあたっては、同時に「建替えないのか?」「建替えたい」「建替えよう」という声が管理組合のメンバーから聞こえてくるかもしれません。

現在は旧耐震基準の建物であることがその議論の理由のひとつとなっています。とはいえ、今後数年後には新耐震基準のマンションでも同じことが起こるでしょう。
マンションの寿命を60年と見るか、70年、80年、90年と考えるのか……。その判断基準となるのは築50年程度時点での躯体で、コンクリートの劣化状態が大きく影響してきます。つまり、それまでの大規模修繕工事でどれだけ建物の劣化を抑えられているかによって、マンションの寿命が決まってくるのです。
日常的な営繕工事の体制なども整備し、定期的な保全を繰り返していけば、50年経ったマンションでも、これまでどおりに生活していくことに関しては特に支障はないケースもあります。
もっとも、建物が存続していればそれで十分というわけにはいきません。建替えが議論にのぼる理由には、マンションは、建物が古くなると住み替え需要が減り、独居老人や空室の増加などが発生します。また、修繕積立金が資金不足に陥ってしまうということも起こり得ます。そうなる前に、新しくしないとたいへんなことになるという不安から、建替え議論が始まるケースもあるのです。
「建替え」はいうだけならば簡単かもしれませんが、現実の計画から実行に至るまでには莫大な時間と資金と人的エネルギーがかかります。その結果、建替えに優位な立地条件等が備わっている場合でもない限り、現実的には建替えて新しいマンションに再び住むというストーリーはなかなか成立しないというのが現状です。夢だけでは到底成し遂げられないでしょう。また、間違った情報で話だけが進んでしまい、実際に着手してみて初めて予想や計画とは大きく異なることが明らかになるという危険性もあります。
理事会が率先して「舵を取る方向」を探るべき
いずれにしても、マンションの築50年というタイミングは、管理組合として将来計画を立てることが重要になる時期であることは間違いありません。情報を含めた事前準備や資金面でも3回目の大規模修繕工事以上に労力や計画力がかかることは間違いありません。
これこそ、専門家であるコンサルタントの能力が必要になる場面です。大規模修繕工事では、理事会はコンサルタントを使い倒すほどの覚悟で修繕計画の検討と同時に、建替えの可能性の検証を行うべきです。客観的な情報をもとに、将来的にも大規模修繕工事を続けていくケースと、建替えるケースを比較し、検討結果を管理組合全体で共有していきましょう。
今後は「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」をはじめ、建替えを後押しするような法律の整備・改正や規制緩和が進んでいくはずです。建物は絶対に修繕できないということもなければ、絶対に建替えられないこともありません。そしてマンションは建物+人によって構成されているのですから、その寿命を決めるのもまた人=管理組合のメンバー全員であることだけは確かです。
築50年という節目は、その後のマンション生活の行く末を管理組合の共通認識として考え、覚悟をもって将来につないでいくことが大切な時期なのです。技術的判断は重要なものですが、半世紀を過ぎたからといってすぐさまマンションがダメになるわけではありません。その前提に立って10年後20年後について真剣に考え、理事会が率先してどのような方向性に舵を取るかを探っていかなければならないのです。
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