体調不良の引き金に…「日本の換気」がマズい!
■室内の空気が汚染されたまま滞留し体調不良を引き起こす
室内における二酸化炭素濃度は、普段あまり意識されないものですが、私たちの生活にさまざまな弊害をもたらします。
人が呼吸すると、二酸化炭素が排出されます。室内に人がいるだけで、酸素濃度は徐々に減少していき、逆に二酸化炭素は徐々に増加していきます。通常の大気での二酸化炭素濃度は300~400ppm(パーツ・パー・ミリオン)程度ですが、市街地の外気では400~600ppm程度とされています。
ビル管理法で定められた二酸化炭素の基準濃度(1000ppm)を超すとあくびが出て眠気を催したり、空気が悪いと感じたり、集中力や思考力にも影響を及ぼします。
二酸化炭素濃度が2000ppmを超えてしまうと、頭痛や倦怠感、注意力の欠如、心拍数の増加、吐き気などの諸症状が発生し、あきらかに問題がある状況となります。健康のためには、どのような状況下でも1000ppm以下を厳守すべきだと主張する専門家もいます。
大手ハウスメーカーによって建てられた高気密・高断熱住宅に住んでいる家族を対象に、夜中の二酸化炭素の濃度の変化を観察する調査があり、そこから驚くべき結果が明らかになっています。
第3種換気を取り入れている家では、家族4人が寝息を立てている6畳の寝室の二酸化炭素はなんと3000ppmを超えており、きわめて不十分な換気状態であることが分かりました[図表:換気の種類]。
また、第1種換気を取り入れている家でも、家族3人が寝ている寝室では2000ppmを超えてしまい、十分な換気ができていないことを示す結果でした。
二酸化炭素の濃度が高い部屋に長時間とどまると、さまざまな体調不良の引き金になります。
日本ではほとんど議論されていませんが、健康・福祉の先進国であるスウェーデンでは、ビルばかりでなく一般の住宅においても、人が暮らしている状態で二酸化炭素濃度が1000ppm以下になっているかどうかは、非常に重要な議論の一つになっています。
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