幻冬舎ゴールドオンライン、2020年の大ヒット記事はこちら。※「老後資金2000万円」問題が取り沙汰されて以降、将来への危機感が高まりつつあります。たとえ、「今はお金があるから」と安心していても、老後にはどんな出費が発生するかわかりません。そこで本記事では、書籍『長寿大国日本と「下流老人」』より一部を抜粋し、サラリーマンが「下流老人」にまで転落してしまった事例を紹介します。

まさかの事態で状況一変。手元に残った金額はわずか…

ところが、新居に移ってわずか数年で状況は一変します。

 

奥さんが認知症を発症してしまったのです。Aさんには子どもが3人いましたが、全員が他府県で生活していて、子育て真っ盛り。時間的にも経済的にも余裕はなく、実家の手助けはできない状況でした。しかも、それまでずっと仕事人間として生きてきたAさんには、家事をしながら奥さんの介護をすることは難しかったのです。

 

Aさんは仕方なく、奥さんを介護施設に入れることにしました。

 

しかし、費用が安い特別養護老人ホームは、順番待ちの人がたくさんいて、何年も待たなければならないという話でした。仕方なく、Aさんは民間の有料老人ホームを探し、奥さんの面倒を見てもらうことにしたそうです。

 

奥さんが入所したのは、料金がかなり高い老人ホームでした。しっかりとした施設を選んだのは、奥さんに対するAさんの愛情だったのでしょう。ただし、この老人ホームは、一時入居金が2000万円も必要でした。Aさんの資産は、この時点でほぼ底をついてしまったのです。

 

奥さんが入った老人ホームは、月に17万円の費用がかかります。一方、Aさんがもらえる年金額は約30万円です。

 

17万円を支払えば、残るお金は13万円です。しかし、この時点ででAさんは、マンションを即金で買ったため、「住む場所は確保しているのだから、月に13万円あれば何とか暮らせるだろう」と甘く見ていたようです。

 

ところが、マンションを維持するためには、管理費や修繕積立金が必要ですし、税金や医療保険料も支払わなければなりません。また、奥さんのおむつ代や医療費が17万円以外に必要で追加で3万円ほど必要になるのも誤算でした。

 

さらに、70歳を過ぎた頃、Aさん自身も脊柱管狭窄症に悩まされるようになり、痛みを止める神経ブロック注射を定期的に打つことになりました。週に1度のペースで打つため、月に9000円ほどの医療費がかかるようになったのです。

 

結局、支出が収入を上回り、毎月の生活費は数万円の赤字となってしまいました。

 

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長寿大国日本と「下流老人」

長寿大国日本と「下流老人」

森 亮太

幻冬舎メディアコンサルティング

日本が超高齢社会に突入し、社会保障費の急膨張が問題になっている昨今、高齢者の中で医療を受けられない「医療難民」、貧窮する「下流老人」が増え続けていることがテレビや新聞、週刊誌などのメディアでしばしば取り上げられ…

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