「ガラガラ!」爆音を鳴らすシャッターがついに…
Aさんが二つ返事で快諾したのは言うまでもありません。
業者はAさんから物件の引き渡しを受けると、まずはじめにシャッターを付け替えました。それまで取り付けられていたものは、開けるたびに「ガラガラ!」とものすごく大きな音を鳴り響かせていたために、深夜にオートバイの出し入れをすると近隣の住人が目を覚ましてしまうおそれがあったのです。また、防犯のために、24時間監視のセキュリティシステムも導入しました。
これらの作業に要したコストや労力は、全て業者が負担しています。印刷工場が駐車場に生まれ変わるまでに、Aさんがしたのは、印刷機等の機械の片付けや掃き掃除程度のことでした。
オープン後、あっと言う間に駐車場はうまり、近くのマンション住民が所有するハーレーやドゥカティなどの高級バイクが常に所狭しと立ち並んでいます。駐車場利用者に対して大通りでバイクを降りてエンジンを切り駐車場まで押して運ぶよう促すなど、近隣に十分配慮した運営をテナントが心がけているために、騒音トラブルも発生していません。おそらく、このテナントは、これからもさしたる問題を起こすことなく物件を借り続けてくれるはずです。
このケースのように、規模の小さな工場・倉庫を活用する選択肢の一つとして、バイクの駐車場への転用は非常に有効な方法になり得るでしょう。バイク駐車場に対するニーズは大きく、今後も市場拡大が見込めるからです。
また、ほかの選択肢としては、家財道具等の保管倉庫として使う、すなわちトランクルームとしての利用も考えられます。とりわけ一戸建てに比べ、物の置き場所が不足しがちなマンションの多い地域では重宝されるはずです。さらに、近隣に工場や倉庫があれば、そこに置ききれないものを収納する予備の物置き場として借りるテナントも現れるかもしれません。
ほかには、「小規模な工場として使いたい」というニーズも考えられます。その一例としては、軽印刷工場があげられます。少部数の名刺やチラシなどを印刷する程度であれば、それほど広いスペースは必要ありません。現在、大量の印刷物に関しては、海外や地方など、人件費の安い印刷所に注文するのが一般的となってきていますが、急ぎの注文に応じる軽印刷工場の需要は根強く存在しています。
このように、たとえ規模が小さくても様々な活用の仕方があり得るところが、工場・倉庫の大きな強みといえるでしょう。