遺産分割後に見つかった「亡父の預金1300万円」は誰のもの?

相続発生時、遺言や遺書の有効性についてトラブルが発生するケースが多発しています。知識を身につけ、もしもの時に備えましょう。今回は事例から、遺産分割後に新たな相続遺産が発見された場合、どのように分割すべきなのか、見ていきましょう。

医師試験「大学別合格ランキング21」1位自治医科大、最下位は   【無料】メルマガ登録で見る

寄付について知りたい→「寄付・遺贈寄付特集」を見る>>>

遺産分割協議後、亡父の預金1300万円が発見され…

【次男からの質問】

父親が亡くなりました。相続人は長男と次男である私の二人です。父の遺産は、農地(相続税評価額で3000万円程度)と現金200万円ほどです。

 

話し合いの結果、長男が農地を相続し、私が現金200万円を相続することとなりました。このときは、この分け方で仕方ないと考え私も納得していたのですが、その後父の預金として新たに1300万円の預金があることが判明しました。

 

従前の分割協議のときは、長男が相続税評価額でも3000万円になる農地を相続し、私は200万円ほどしか相続できず不公平な分割協議でした。ですので、新たに発見されたこの預金1300万円については、私がすべて取得すべきと考えています。

 

私の主張は認められますか。

 

「預金1300万円」は誰のもの?(画像はイメージです/PIXTA)
「預金1300万円」は誰のもの?(画像はイメージです/PIXTA)

 

【説明】

本件のように、遺産の分割協議後が成立した後に、新たに遺産が発見された場合、新たに発見された遺産の分割について、

 

①法定相続分で分割すべき

②従前の遺産分割における不均衡を、新たに発見された遺産の分配において修正し、遺産全部について法定相続分に従った分割をすべき

 

のいずれが妥当かが問題となります。

遺産分割協議の際の、当事者の意思表示の解釈が重要に

この問題の考え方については

 

「先行する遺産分割協議の際の当事者の意思表示の解釈により定まる」

 

というのが、裁判実務での考え方となっています。

 

たとえば、先行する遺産分割協議において、協議書に「新たに発見された遺産については、法定相続分で分割する」と記載されていれば、当事者の意思は明確になっていると解釈されます。

 

他方で、協議書に上記のような条項が入っていなかった場合には、遺産分割協議の当事者のやりとりや、遺産分割協議の内容を踏まえて、当事者の意思が果たしてどちらだったのかが解釈されることとなります。

遺産が新たに発見された場合の取り決めはなかったが…

本件の事例は、大阪高等裁判所令和元年7月17日決定の事例をモチーフにしたもの(なお、この事例では相続人は長男・次男の他に、母親もいました)です。

 

この事例では、協議書には、新たに発見された遺産の扱いについては特に明記されていなかったのですが、裁判所は、以下のように述べて、新たに発見された遺産については、先行の遺産分割協議の内容に影響されず、法定相続分で分割すべき、と判断しました。

 

 

こすぎ法律事務所 弁護士

慶應義塾大学大学院法務研究科卒業。神奈川県弁護士会に弁護士登録後、主に不動産・建築業の顧問業務を中心とする弁護士法人に所属し、2010年4月1日、川崎市武蔵小杉駅にこすぎ法律事務所を開設。

現在は、不動産取引に関わる紛争解決(借地、賃貸管理、建築トラブル)、不動産が関係する相続問題、個人・法人の倒産処理等に注力している。

毎月1回、大家さん向けの役に立つ裁判例のメールマガジン発行(メールマガジンご希望の方は、こちらの問合せフォームにて「メールマガジン登録希望」と書いてお申し込みください)。

北村氏が運営するメディア、 川崎・武蔵小杉の相続・離婚法律相談 はこちら!

著者紹介

連載事例で見る「相続・離婚トラブル」の解決法

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧