相続発生時、遺言や遺書の有効性についてトラブルが発生するケースが多発しています。知識を身につけ、もしもの時に備えましょう。今回は事例から、遺産分割後に新たな相続遺産が発見された場合、どのように分割すべきなのか、見ていきましょう。

 

「一件記録によれば,先行協議の対象となった被相続人の遺産には,不動産のほか,現金や預貯金もあったところ,相手方は,現金や預貯金は取得せず,本件各土地と農耕具などを取得し,抗告人は現金200万円のみを取得しているのに対して,」「相互に代償金の支払を定めることもなく遺産分割協議が成立していることが認められることからすると,先行協議の当事者は,各相続人の取得する遺産の価額に差異があったとしても,そのことを是認していたものというべきである。」

 

「そうすると,先行協議の際に判明していた遺産の範囲においては,遺産分割として完結しており,その後の清算は予定されていなかったというべきである」

 

本件は、結果的に後で新たな遺産が判明したという事例ですが、ポイントとなるのは、遺産の一部分割をした後の、残余遺産の分割方法として議論されているところです。

 

相続法改正により、遺産の一部分割が定められましたが、一部分割後の残余遺産の分割方法については明確に規定がされていないため、当事者の意思解釈に委ねざるを得ません。したがって、遺産の一部分割をする際には、どのような各人がどのような意思で一部分割をしたのか、協議書等で明確にしておくことが望ましいです。

 

【民法:907条】

1.共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。

2.遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。

3.前項本文の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。

 

※本記事は、北村亮典氏監修「相続・離婚法律相談」掲載の記事を転載・再作成したものです。

 

北村 亮典

こすぎ法律事務所弁護士

 

 

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