「親権・監護権」は、離婚時にトラブルになりやすい
未成年の子どもがいる夫婦が離婚する場合、父か母のどちらか一方のみを子どもの親権者として離婚届に記載しなければなりません。すなわち、親権者を決めなければ、離婚をすることもできません。
かつては、子どもの親権者は、母親になることが多かったのですが、近年は夫婦共働き世帯の増加や、父親も積極的に育児に関与するという夫婦のあり方の増加に伴い、離婚の際に子どもの親権をめぐって夫婦で激しく対立するケースが増えています。
また、離婚する前に夫婦が別居に至る際に、別居後にどちらが子どもを監護養育するのか、すなわち子どもの監護権を巡って争いになるケースも増えています。
子どもの親権・監護権が争われた場合、
今まで夫と妻のどちらが子どもを育てていたか、どちらが今後も健やかに育てていけるか、子の養育態勢はどちらが整っているか
という点を中心に判断されます。
「不倫していたこと」は親権者争いで不利となるか?
Q.妻が他の男性と不倫していることが発覚しました。
妻は二人の子ども(5歳と2歳)を寝かしつけた後、深夜に他の男性と会って不倫をしていたようです。
これから離婚の話し合いになりますが、不倫をするような妻に子どもを任せるわけにはいきませんので、自分が親権者になって子どもを育てたいです。
妻が不倫をしていたということは、親権争いのなかでこちらから強く主張できますか?
妻の不倫は、「不利な要素」になりそうなものだが…
A.不倫をしていたことは、親権・監護権争いのなかではほとんど考慮されませんが、不倫行為が、子の養育に具体的に悪影響を及ぼしている場合には考慮されます。
妻が不倫しなければ、夫婦関係が悪くなることもなく、子どもたちも両親の離婚という不幸な経験をすることもなかったはずです。そのように考えれば、不倫をした、ということは子どもに対しての裏切り行為であり、したがって、それは親権・監護権争いのなかで不利な要素として考慮すべきようにも思われます。
しかし、子どもの親権・監護権というものは、今まで夫と妻のどちらが子どもを育てていたか、とか、どちらが今後も健やかに育てていけるか、子の養育態勢はどちらが整っているか、という点を中心に判断されます。
あくまでも、子どもの実際の養育方法や環境という観点で決せられるべきものなのです。
したがって、不倫をしていた、ということはけしからん行為であり非難の対象ではありますが、子どもの親権・監護権を決める際には特に考慮すべき要素とはされないのが裁判実務です。
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