後継者がいない、将来、事業を維持できるか不安…。このような悩みを抱えている経営者が増えています。大切に育ててきた会社を承継する人が身内や社内にいない場合、選択肢として考えられるのがM&Aです。しかし、日本ではM&Aについてマイナスイメージをもつ人が多く、M&Aの本来の意義や内容が十分に浸透しているとはいえません。本連載では篠田康人氏の著書『まんがでわかる 実録!中小企業のM&A』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、M&A成功の秘訣を解説します。

 

その際に、社長から見て、本来100の能力が必要なところ、30~40程度の能力しかないと思われるのであれば、後継者とすることは難しいでしょう。繰り返しですが、これからの時代の企業経営は、不向きな経営者でもなんとかやっていけるようなものではありません。はっきりと向いていないということが分かったのなら、早めに別の道を勧めることも本人のためでしょう。一方、70~80くらいの能力はありそうだと見込まれるのであれば、時間をかけて教育をすることで、不足する部分を引き上げることはできるでしょう。

 

いずれにしても、本話の加賀社長のように放任するのはよくありません。後継者として育成するのであれば、それこそ手取り足取りの教育が必要です。その教育期間は、子の素質にもよりますが、早くても2、3年、長ければ5年~10年かかることもあるでしょう。すると、例えば、親が70歳で子が40歳というような場合、それから後継者教育を始めようと思っても、モチベーションの維持が難しいかもしれません。早めに資質を見抜いて決断することがポイントです。

子が継ぎたくなる会社は、M&A市場でも引く手あまた

ところで、子が継ぎたくなるような「いい会社」の条件は、実は、M&Aにおいて「買いたくなる会社」の条件と同じです。業績が良く、今後も伸長が見込まれ、財務が安定していて、内部統制やコンプライアンスもしっかりしている。そんな会社ならM&A市場においても、「引く手あまた」で買い手が付く場合がほとんどです。逆に、すべての面を満たしていないような会社だと、M&Aで買い手が付く可能性はゼロに近いでしょう。

 

つまり、将来的に子に承継させるか、M&Aで承継させるか、どちらにするかはっきり決まっていなくても、まずはいい会社をつくっておけば、採り得る選択肢が広がるということです。そしてそれは、事業を成長させてより多くの価値を社会に提供していくという、経営者としての本分とも一致していることであるはずです。

 

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まんがでわかる 実録!中小企業のM&A

まんがでわかる 実録!中小企業のM&A

篠田 康人

幻冬舎メディアコンサルティング

「後継者がいない」 「事業再生しないと生き残っていけない」 「将来、事業を維持できるか不安」 このような悩みを抱えている経営者が増えています。 大切に育ててきた会社を承継する人が身内や社内にいない場合、選択…

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