後継者がいない、将来、事業を維持できるか不安…。このような悩みを抱えている経営者が増えています。大切に育ててきた会社を承継する人が身内や社内にいない場合、選択肢として考えられるのがM&Aです。しかし、日本ではM&Aについてマイナスイメージをもつ人が多く、M&Aの本来の意義や内容が十分に浸透しているとはいえません。本連載では篠田康人氏の著書『まんがでわかる 実録!中小企業のM&A』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、M&A成功の秘訣を解説します。

 

今後「M&A」は中小企業の救世主となる

年商5億円、従業員20名の自動車部品製造業を営む大森社長(この記事のマンガを読む:『跡継ぎなしの自動車部品メーカー社長(70)会社の未来は?』)。親友だった経営者の死をきっかけとして自社の事業承継を真剣に考えはじめ、結果的にM&Aの実行により円満な事業承継が果たせました。

 

大森社長たちのような状況、つまり高齢になった経営者が後継者を定めないまま会社で陣頭指揮を執っている中小企業は実はたくさんあります。その意味で、本話はまさに典型的な事例です。

 

経営者が陣頭指揮を執っており、後継者を決めていない中小企業はたくさんある(画像はイメージです/PIXTA)
経営者が陣頭指揮を執っており、後継者を決めていない中小企業はたくさんある(画像はイメージです/PIXTA)

 

[図表]は、全国約27万5000社を対象に調査した社長の年代別の後継者不在率データです。これによると、60代の社長で50%程度、70代の社長でも40%程度は後継者が不在となっています。ざっくりいって、社長が60~70代の会社の半数近くで、後継者がいないのです。

 

データ出所:株式会社帝国データバンク「全国・後継者不在企業動向調査(2019 年)」掲載データを基に一部改編
[図表]年代別後継者不在率( %) データ出所:株式会社帝国データバンク「全国・後継者不在企業動向調査(2019 年)」掲載データを基に一部改編


おそらく読者の皆さまのなかにも、その点で悩んでいらっしゃる方が多いのではないでしょうか?

 

多くの企業が直面している経営者の高齢化と後継者不足は、以前から危惧されてきまし
た。すでに2016年の時点で、このままでは2025年には、後継者不足によって127万もの中小企業が休廃業によって消滅し、650万人分の雇用と22兆円のGDPが失われる「大廃業時代」となると、中小企業庁からの指摘がありました。さらに、その休廃業している中小企業の半数以上は、きちんと利益を出している黒字経営なのです(『中小企業白書』2017年版)。

 

利益を出している業績好調の会社でも、独自の優れた技術をもっている会社でも、経営を任せられる後継者が見つからなければ、休業や廃業に直面します。実にもったいない話ではありませんか。

M&Aによる事業承継には多くのメリットがある

そのような流れのなかで、がぜん注目を集めているのが、「M&A」です。後継者が見つからなくても、親族内、あるいは会社内に後継者が見つからなくても、M&Aという選択肢を選べば、会社や事業を残すことが可能になります。

 

M&Aで事業を承継することにより、多くの人にさまざまなメリットがもたらされます。

 

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まんがでわかる 実録!中小企業のM&A

まんがでわかる 実録!中小企業のM&A

篠田 康人

幻冬舎メディアコンサルティング

「後継者がいない」 「事業再生しないと生き残っていけない」 「将来、事業を維持できるか不安」 このような悩みを抱えている経営者が増えています。 大切に育ててきた会社を承継する人が身内や社内にいない場合、選択…

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