人気の優待銘柄には特有の問題点もあるが・・・
株主優待を実施する企業はここ数年、増加傾向にあります。優待を実施する企業が増えることは、株主としても喜ばしいことです。
しかし人気の優待銘柄には大きな問題点もあります。それは権利確定日前後の値動きです。多くの銘柄は権利確定の翌日に、配当や優待相当分を調整する値動きとなることがあります。
優待が人気化し過ぎると、優待権利を獲得したら、すぐに株式を売却する投資家が増加します。その結果、権利落ち日以降、売り注文が増加し、株価が大きく下落してしまうケースがあります。
このように、優待品を得ることができても、株価の変動が大きくなり、優待相当額以上のマイナスを抱えてしまう場合があります。
長期保有株主を優遇する企業は年々増加傾向に
企業側もこの問題点に着目し、安定株主を増やす目的で、3年や5年といった長期保有の株主を優遇し、株主優待の内容をグレードアップする動きが目立ち始めました。
たとえばオリエンタルランド(4661)は100株以上保有する株主に、東京ディズニーリゾートのワンデーパスポートを1枚進呈しています。
そして、5周年ごとのアニバーサリーイヤーに合わせ、2015年9月から2018年9月まですべての基準日において、同一株主番号で100株以上保有すれば2枚、2018年9月から2023年9月まで同様に保有すれば4枚を追加すると公表しています。
もともと株主優待ファンの多い企業ですが、長期保有のインセンティブをつけたことで、より強力な安定株主の確保につながりそうです。
ヤマダ電機(9831)は100株以上保有の株主に、優待割引券(500円)を2枚進呈しています。
2015年以降は、100株以上を1年以上2年未満継続して保有する株主には3枚、100株以上を2年以上継続して保有する株主には4枚を追加するとしています。長期保有するほど、優待品のお得度がアップします。
長期保有の株主を優遇する企業は年々増加傾向にあり、2015年8月末時点で177社が導入しています。優待を導入する1262社中、長期優遇を行っている企業は約14%を占めていることになります(野村IR調べ)。
企業にとって長期で株式を保有する安定株主は非常に大切です。このような優遇制度を導入する背景には、個人株主を増やしたいという狙いもあります。継続して株を持ち続ける個人投資家の比率を増やすことで、株価が安定しやすくなります。これは既存株主にとってもメリットになります。