3つの「価値を生まない時間」を削減
人の苦手な仕事をRPAに代替させることは、従業員の定着率を向上することにつながります。さらに価値を生まない時間を減らすことにもつながります。これは中小企業の労働生産性を高める初めの一歩となります。
【前回の記事】で価値を生まない時間として挙がったのは、次の3つでした。
●引き継ぎ時間
●転記にかかる時間
●間接業務にかかる時間
順に見ていきましょう。まず引き継ぎ時間についてです。引き継ぎの大半は、業務手順の説明に費やされます。属人化されていた業務であれば、引き継ぎのためにわざわざ手順書を作成しなければなりません。
前項で説明したように、ロボットを作るとプロセスファイルができあがります。これはコンピューターの言語で書かれており、業務手順書そのものです。しかも人が作った業務手順書と比べて、曖昧な表現がありません。
したがってRPAを使うことで、引き継ぎの際に業務手順書を作成する必要はなくなり、「このような業務があり、ロボットがやっています」と伝えるだけで済みます。
次は転記にかかる時間についてです。転記とは、「システムとシステムをつなぐために発生する人の手による入力作業」のことでした。これをRPAで実現する場合、あるシステムにログインして、検索条件を入力し、受け取った結果を一時ファイルに保存して、別のシステムにログインし、一時ファイルを読み込みながら1項目ずつ入力して、終了したらログアウトする―といった操作をするロボットを作成すればいいのです。
実はRPAは、もともとシステムとシステムとの間に発生する人の作業を代替して、自動的にシステム同士をつなぐこと(ワークフローの自動化)を目的としたソリューションです。したがって転記作業の代替は得意中の得意なのです。
最後に間接作業にかかる時間についてです。転記も広い意味では間接作業ですが、【前回の記事】では、「企業活動には必要だが、それ自体は価値を生まない仕事」と定義しました。その代表例として、経理業務における仕訳作業を挙げました。結論からいうと、仕訳作業はほかのソフトウェアと組み合わせることで自動化できます。
そもそも間接業務でもシステム化していますから、ほとんどがRPAに代替できるのです。RPAを活用すれば、人は苦手な業務、つまり価値を生まない仕事の大半から解放され、付加価値の高い仕事に集中できるようになります。結果として生産性の向上につながるはずです。
田牧 大祐
株式会社 ASAHI Accounting Robot研究所 CEO
佐々木 伸明
株式会社ASAHI Accounting Robot研究所 CTO
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