日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点を当てるのは「貧困率」。先進国である日本には、生活するのも苦しい……という家庭はどれほどあるのでしょうか?

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平均可処分所得の半分にも満たない貧困層

また同調査では「貧困率」についても言及しています。これは低所得者の割合や経済格差を示す指標で、厚生省(現厚生労働省)が1985年から3年に1度調査し、2006年から結果を公表しています。

 

貧困率は正確には「相対的貧困率」と言われ、可処分所得の中央値の半分に満たない世帯の割合を表し、それらの世帯を「貧困層」と呼びます。

 

2018年の貧困線(可処分所得の中央値の半分)は127万円で、貧困率は15.4%。前回調査の2015年に比べて0.3ポイントの改善しました。また「子どもがいる現役世帯」(世帯主が18歳以上65歳未満で子どもがいる世帯)では12.6%、そのうち「大人が一人世帯」では48.1%、「大人が二人以上世帯」では10.7%となっています。

 

貧困率を時系列でみていくと、1985年に貧困線は108万円で貧困率12.0%、子どもがいる現役世代に限ると10.3%でした。その後バブル景気、バブル崩壊を経た2000年、貧困線は137万円で貧困率15.3%、子どもがいる現役世代に限ると13.0%と、貧困層の拡大がみられました。

 

さらにリーマンショック後の2009年、貧困線は125万円で貧困率は16.0%、子どもがいる現役世代に限ると14.6%、その3年後の2012年、貧困線は122万円で貧困率は16.1%、子どもがいる現役世代に限ると15.1%に達しました。

 

その後アベノミクスもあり経済が上向きに転じると、2015年の貧困率は15.7%、そして2018年は15.4%と改善傾向にあります(図表2)

 

出所:厚生労働省「国民生活基礎調査」より作成
[図表2]貧困率の推移 出所:厚生労働省「国民生活基礎調査」より作成

*1994年の数値は、兵庫県を除く
*2015年の数値は、熊本県を除く
*大人とは18歳以上の者、子どもとは17歳以下の者をいい、現役世帯とは世帯主が18歳以上65歳未満の世帯をいう

 

貧困世帯に対しては行政からの支援もあります。生活保護の不正受給などもよく問題視されていますから、「貧困層が絶対的に生活が苦しいわけではない。むしろきちんと給与をもらってる一般層のほうが苦しい」という論調もあります。

 

さまざまな意見がありますが、それでも子どもがいる現役世代の8世帯に1世帯は貧困層……というのが、一見、豊かにみえる日本の現状なのです。

 

 

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