株式投資の専業トレーダーの90~95%は、そのうちマーケットからいなくなるという調査があります。その統計の信ぴょう性を調べる必要もありますが、専業デイトレーダーとして生き残り続けることが、そう簡単ではないことが推測されます。今回は、専業でも兼業でも、デイトレーダーとして生存率をあげるための3つの策を紹介します。※本連載では、AI技術を用いた株価予測ソフトを開発する、株式会社ソーシャルインベストメントでトレーダーとして活躍する川合一啓氏が、個人投資家が株式市場で勝ち続けていくための極意について説明していきます。

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「勝算を見つけること」に注力する

株式投資には、運、すなわち偶然が大きく影響します。

 

ようは運?(※画像はイメージです/PIXTA)
ようは運?(※画像はイメージです/PIXTA)

 

利益や資産の大きな銘柄の株は高くなりますし、将来性の高い銘柄の株も割高になります。基本的に、良い会社ほど良い値段がついているものなのです。ですから、ある時点である株を買っても、それが上がるか下がるかは、偶然に大きく左右されるといえます。特にデイトレードのような短期売買では、その傾向が一層強まります。また、そのように株価の上下がランダムであるとする、「ランダムウォーク理論」と呼ばれるファイナンス理論も存在します。

 

しかしながら、株価の上下する確率が「ほぼ等しい」としても、ほんの少しでも上がる確率が高ければ、それが勝機となります。そんな勝算のある売買を繰り返すことで、仮に負けることがあったとしても、平均的には勝つことができるからです。

 

たとえば、市場全体が上昇傾向にある時期、特にバブルが起きているときなどは、どの株を買っても上がる確率が下がる確率を上回るように思えます。また、非常に割安になっている銘柄なども、上がる確率が下がる確率を上回っているといえるでしょう。一時的な悪材料で下げた銘柄が株価を回復していく過程なども、それに当たりそうです。

 

確かに、株価変動にはランダム性があり、上がる確率と下がる確率はそう違わないのかもしれません。しかしそれを理解したうえで、少しでも上がる確率が高いと判断できる勝算があるならば、それは勝機なのです。

 

したがって、デイトレ生存率向上のための第1策は、「勝算を見つけることに注力する」ことだといえます。

「期待値の大きさ」に応じて賭ける

さて、勝算を見つけられるか否かが勝負の分かれ目でもあるのですが、もう1つ重要なことに、「いくら投資するか」があげられます。

 

数学の確率分野では、「勝つ確率×リターン金額」「期待値」と呼びます。たとえば、勝率80%で儲けが10万円の賭けの期待値は、0.8×10=8万円となります。この期待値の計算は、勝つ確率もリターン金額もすべて仮定の話であるため、厳密な計算はしづらいかもしれませんが、考え方自体は投資金額を決定する際にも役立ちます。

 

原則的なことを簡単に述べれば、「期待値の大きさに応じて賭ける」ことが、デイトレ生存率向上のための第2策となるのです。

 

勝つ確率が高そうなとき、リターンが大きくなりそうなときは、大きく賭ける。そうでないときは、賭ける金額を減らす。

 

そうすることによって、負ける金額よりも勝つ金額の方が大きくなりやすくなり、生存率を高めることができるでしょう。

 

またそう考えると、期待値が0の時には賭け金も0にする(すなわち投資をしない)ことも重要であることが、おわかりかと思います。デイトレーダーだからといって、毎日トレードをしなければいけないわけではありません。勝つ見込みのない勝負をしないことは、勝利のための鉄則なのです。

 

ちなみに、売買には手数料と税金がかかりますので、その金額以上の期待値が必要なことにも、注意をしてください。

 

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