遺産分割協議を試みるも、人数が多すぎて…
Aさんのおばが遺言書を残していたなら、その通りに分ければいいので大きな問題はありませんが、残念なことに遺言書はありませんでした。
遺言書がない場合、相談者は、長男の子2名(B、C)、次男の子2名(D、E)、三女の子3名(F、G、H)の全員と、おばの遺産をどのように分けるかについて、話し合いをしなければなりません。この話し合いを「遺産分割協議」といいます。
例えば、おばが自宅の土地・建物を遺して亡くなった場合、土地や建物の名義変更をするにも、遺産分割協議をまとめなければなりません。また、銀行預金を遺していると、おばの死を知った銀行に預金を凍結されてしまいますが、預金口座を解約して中の預金を払い戻すためにも、やはり、この遺産分割協議をまとめなければならないのです。
そのためAさんは、おばの財産についての話し合いを、7人(B~H)全員と同時に行い、全員納得のうえで一挙に話をつけなければなりませんでした。
しかし、2人や3人ならまだしも、7人との話し合いともなると大変です。
相続人のなかには、「自分はおばに尽くしてきたから、遺産を多くもらっていい」「彼は事業の開業資金の援助を受けているから、遺産をもらう資格はない」「おばさんが一番かわいがってくれたのは私。私が多く受け継げばおばさんは喜ぶ」など、過去の事情や個人的な感情を持ち出し、互いにいがみあう場面も出てきました。
そのようななか、Aさんはいがみ合う相続人が納得するように話を進める必要があります。
その一方で、「私はお金は要らないから、なんとか早く終わらせてほしい」という相続人も出てきました。
話し合いを面倒がっている相続人は、おばが亡くなってから3ヵ月以内であれば、裁判所で「相続放棄」の手続をとればこの話し合いから抜けられたのですが(裁判所への申立てをいうひと手間はありますが)、今回のケースではすでにおばが亡くなって5ヵ月経過しているため、基本的に相続放棄は難しい状況となっています。そのため、おばの財産はいらないといっている相続人にも、ほかの相続人との話し合いが終わるまで、しばらく待ってもらわなければなりません。
しかし、時間の経過によって相続人の気持ちも変化することがあります。一貫して「財産はいらない」といい続けてくれればいいのですが、残念ながらそんな保証はなく、途中から「こんなに長引くなら、やっぱり自分も財産がほしい」といいはじめる可能性もあります。
さて、相続人と連絡がつかないというのもよくあるケースです。今回も、何度電話したり手紙を送っても、さっぱり連絡がつかない相続人がいます。
こうなると、もう大変です。Aさんは、意見や要求を突きつける相続人と話し合いながら、参加を拒否する相続人にも状況を報告し、連絡の取れない相続人にも引き続き連絡を試みなければなりません。ここまでくると、Aさんはやるべきことが多すぎてパニックです。精神的なストレスも生半可ではありませんし、仕事にも支障が出るでしょう。相続の対応に使える時間は限られますから、解決にも必然的に時間がかかってしまいます。
「相続分の譲渡」という選択肢
このようなとき、「相続分の譲渡」という方法が有効な場合があります。
これは、Aさんのような相続手続きを主導する方が、各相続人と個別に交渉し、それぞれの相続人が持っている相続分を、丸ごと譲り受けることができる制度です。そうすることで、その相続人は話し合いのテーブルからいち早く抜けることができるため、ほかの相続人だけで話をまとめればいいことになります。
つまり、上述したような「全員で一気に解決する」ことを目指す必要はないのです。各相続人と個別に話をし、相続分の譲渡に応じてくれた相続人を「一抜け」させることができるため、遺産分割協議を全員と行うより、話し合いをコンパクトに進めることができるわけです。
先ほどの例を相続人関係図に当てはめると、Aさんに対し、Bさんがご自身の相続分を譲渡した場合、Bさんはいち早く話し合いから抜けられることになります。そのためAさんは、残りのC~Hさんとだけ話をすればいいことになります。
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