後継者がいない、将来、事業を維持できるか不安…。このような悩みを抱えている経営者が増えています。大切に育ててきた会社を承継する人が身内や社内にいない場合、選択肢として考えられるのがM&Aです。しかし、日本ではM&Aについてマイナスイメージをもつ人が多く、M&Aの本来の意義や内容が十分に浸透しているとはいえません。本連載では篠田康人氏の著書『まんがでわかる 実録!中小企業のM&A』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、M&A成功の秘訣を解説します。

 

 

◆売り手企業のメリット

従業員の職場維持…M&Aにより社長が引退しても、会社と事業が残れば従業員の働く場は守られます。

創業者利潤の確保…売り手企業の社長にとっては、M&Aの売却代金が得られますので、リタイア後の安定した生活の基盤を築くことが可能になります。40 代、50代などの若い世代の社長であれば、売却資金を元手にして新たな事業を展開するケースもあります。

「のれん」やブランドの承継…M&Aの方式にもよりますが、一般的には会社やブランドはそのまま残ります。代々続いてきた老舗企業であれば、受け継がれていた、いわゆる「のれん」やブランドが消えてなくならないこともメリットでしょう。

 

◆買い手企業のメリット

技術やノウハウ、人材、顧客基盤などの獲得…さまざまな技術やノウハウ、またそれをもつ人材、顧客基盤などは、形成するのに長い時間がかかります。M&Aによりそれを短期間で獲得できることがメリットです。

サプライチェーンの補完(垂直的M&A)…設計・製造・組立、卸・小売など、いわゆるサプライチェーンの前方または後方の機能を短時間で補完でき、事業の拡充が図れます。

市場シェアの拡大(水平的M&A)…生産拠点の拡大、店舗の拡大など、サプライチェーンのなかでの同機能を短時間で効率的に拡大でき、市場シェアを一気に拡大することができます。

 

◆取引先企業や顧客にとってのメリット

顧客や取引先にとっては、これまで利用していた製品やサービスが続けて利用できることがメリットとなります。また、中小企業を下請けとして抱えている大企業にとっても、サプライチェーンの欠落を防げることは有り難いことです。

 

◆地域経済、日本経済にとってのメリット
地元企業が存続、発展し、地元での雇用の場が維持されることは、地域経済の衰退防止につながります。さらに、日本企業の99%を占める中小企業が全国各地で活性化することは、日本経済全体を支えることになります。

 

M&Aの方法は1つではなく、さまざまな類型があります。大きく分けると、①株式譲渡、②事業譲渡、③組織再編の3種類になります。

 

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まんがでわかる 実録!中小企業のM&A

まんがでわかる 実録!中小企業のM&A

篠田 康人

幻冬舎メディアコンサルティング

「後継者がいない」 「事業再生しないと生き残っていけない」 「将来、事業を維持できるか不安」 このような悩みを抱えている経営者が増えています。 大切に育ててきた会社を承継する人が身内や社内にいない場合、選択…

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