コロナ・ショックによる米ドル安は終わりつつある!?
「コロナ後」米ドル安のもう一つの特徴が、金利差とのかい離の是正ということでした。これは、豪ドル/米ドルと豪米金利差との関係で見るとわかりやすいのですが、3月の「コロナ・ショック」で豪ドル急落(米ドル急騰)が起こった局面では金利差とのかい離が急拡大しました。
そしてその後の豪ドル高・米ドル安は、そんな金利差とのかい離が是正される動きだったのです(図表3参照)。これは、ユーロ/米ドルと独米金利差との関係でもおおむね同様に指摘できることでした。
3月の「コロナ・ショック」は、未曽有の有事とされ、そこで為替市場において起こったのは「Cash is King」、金利などを無視した基軸通貨米ドル買いの殺到でした。その結果、為替相場と金利差のかい離は急拡大したのです。しかし、そんなかい離は、「コロナ・ショック」が一段落し、株高が続くなかで是正されてきました。
実際に、金利差と大きくかい離した「コロナ・ショック」後の豪ドル/米ドルの動きを比較的うまく説明できたのはNYダウなど株価でした(図表4参照)。金利差では正当化できない水準まで買われた米ドルが、株高が続くなかで金利差との関係を正常化してきたのが、「コロナ後」米ドル安だったのだといえます。
ところで、最近の豪ドル/米ドルと金利差の関係を見ると、すでにかい離はほぼ是正されたようです。その意味では、金利との関係正常化といった「コロナ後」米ドル安は終わりつつあるのかもしれません。
米ドル/円の場合は、まだ金利差より高い状況が続いているようですので、その意味では米ドル/円は金利差とのかい離是正といった意味での下落リスクが2021年も続く可能性があります(図表5参照)。
超円高だが、90~95円で「行き過ぎ」の可能性も
米ドル/円と金利差の関係で気になるのは、豪ドル/米ドルやユーロ/米ドルと異なり、「コロナ・ショック」が起こる以前、2019年後半から金利差とのかい離が拡大していたということです。
2019年後半から、2020年3月「コロナ・ショック」が発生する前までの金利差からかい離した米ドル/円の上昇傾向を比較的うまく説明できるのはNYダウなど米国株でした(図表6参照)。
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