米ドル/円は3月のコロナ・ショック以降、緩やかな下落トレンドが続きました。本記事では、来年の米ドル/円価格について考えてみたいと思います。FX開始直後から第一線で活動している、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が解説します。

 

要するに、米ドル/円は2019年後半以降、金利差とのかい離が、第一段階は米国株に連動し、そして第二段階は「Cash is King」の二段階に分けて起こっていた可能性があるのです。

 

この結果、他の通貨ペアに比べて金利差から大きくかい離した米ドル/円は、最近でも金利差から見てなお割高圏での推移が続いている可能性があり、そんな割高是正に伴う米ドル/円の下落リスクは2021年にかけて続く可能性があります。金利差を参考にすると100円を割り込むことがあるかもしれません。

 

ちなみに、かつて1米ドル=100円を超えた円高は「超円高」と呼ばれました。最初の「超円高」は、1993年に共和党から民主党へ政権交代となったなかで起こり、そして2度目の「超円高」も、同じく1999年からの共和党から民主党への政権交代のなかで起こりました。

2021年の米ドル/円は「超円高」の可能性がある

そんな過去のジンクス通りに、トランプ共和党からバイデン民主党への政権交代のなかで、為替相場としては改めて1米ドル=100円を超える円高、「超円高」が実現する可能性が出てきたということかもしれません。

 

金利差より米ドル/円が割高なら、割高是正の下落リスクはくすぶるでしょう。では、米ドル/円はどこまで下落したら「下がり過ぎ」となるのでしょうか。これまでの実績としては、米ドル/円と52週MA(移動平均線)との関係を見ると、下落局面では52週MAを10~15%下回ったところで一巡していました(図表7参照)。

 

出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
[図表7]米ドル/円の52週MAからのかい離率(2000年~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

 

以上をまとめると、金利差や株価の状況次第で、下落リスクが続く米ドル/円も、90~95円まで下落することがあれば「下がり過ぎ」懸念から反転する可能性が出てくるのだといえます。
 

 

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティ FX学長

 

 

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

 

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