「駆除すべき対象としてしか見ていなかった生き物に対して、ネズミさんたちと呼びたくなるほどに親しみを感じている」「解き明かして得たネズミさんたちの習性が、今後のドブネズミ駆除に役立つのであれば、私にとってこれ以上喜ばしいことはない」――ネズミ捕獲のプロ・山﨑收一氏は書籍『捕獲具開発と驚くべきネズミの習性』(幻冬舎MC)で、そう語っています。

脱出することを早々にあきらめた。そして…

まず、どのようにして脱出したのだろう? 入口にはL字金具が付いているので、入ったところを押し上げても簡単に隙間はできない。少しバネを押し上げた時に、入口の左右の端に隙間ができる。右端、もしくは左端を内側から押すことによって、 隙間を広げれば脱出できる。

 

ドブネズミとクマネズミ3頭の捕獲の際は自力で脱出できなかったので、内側からの力だけでは無理だったのだろう。そもそも毛が抜け落ちていなかったのだから、脱出することを早々にあきらめたと考えられる。今回は外に協力者がいて脱出の手助けをしたことは間違いない。外からの協力があれば脱出できる仕掛けであることが証明されたのだ。

 

この場合の協力とは、直接的な行動だけではなく、近しい間柄であれば、外にいるだけで発揮される協力も含まれる。例えば、仲間が大勢外にいるだけで、出ようとする力が湧いてくるように。

 

また、運よく最初の1頭が脱出できたのを、中の他の個体が知れば尚更である。しかも、午後3時頃に設置して、おそらくすぐに5頭は中に入って捕獲されたのだが、外にいた個体と中にいる個体が協力して2時間ほどで脱出方法を発見したことになる。

 

どの時点で、どのようにして口元を怪我したのかを推理した。

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捕獲具開発と驚くべきネズミの習性

捕獲具開発と驚くべきネズミの習性

山﨑 收一

幻冬舎メディアコンサルティング

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