「駆除すべき対象としてしか見ていなかった生き物に対して、ネズミさんたちと呼びたくなるほどに親しみを感じている」「解き明かして得たネズミさんたちの習性が、今後のドブネズミ駆除に役立つのであれば、私にとってこれ以上喜ばしいことはない」――ネズミ捕獲のプロ・山﨑收一氏は書籍『捕獲具開発と驚くべきネズミの習性』(幻冬舎MC)で、そう語っています。

クマネズミを入れたらクマネズミが飛び出してきた!

【観察記録】クマネズミの場合~古民家のケース

 

新たに捕獲したクマネズミをケージに入れると、すぐにそれまで新聞紙の下にいた先住者が飛び出してきた。侵入者は入ってすぐに身を隠そうとする訳でなく、対峙してにらみ合うこともなく、逃げる一方である。この2匹のネズミは同じくらいの大きさで、むしろ先住者の方が小さく見えた。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

今、改めて写真を見直して撮影順に写真を並べてみると、先住者は追いかけるばかりではなく、最初は餌の前に居座って睨みを利かしていただけのようにも見える(写真1、2)。

 

[写真1]
[写真1]

 

[写真2]
[写真2]

 

しばらくして、先住者は、あきらめて動かなくなった侵入者の背後にまわりに前足をのせて、耳元でキーと鳴いた(写真3)。噛みつくことはしなかった。

 

[写真3]
[写真3]

 

先住者がこのような行為を数回行った後、 儀式が終わったかのように2匹とも新聞紙の下に潜り、二度と争うことはなかった。わずか数分のできごとである。

 

とんでもないことが目の前で起こっていると思ったので一緒にいた社員の一人に写真に撮るよう指示を出して8枚の写真として記録した(【おぉ…】ガチのクマネズミ、写真はこちら)。

 

先住者は興奮状態で新聞紙の下から飛び出たように感じた。驚きである。一連の行動の最中、そばで見ている人間はまったく無視されていた。大抵、人が近くにいるのを知っている場合、物陰に隠れたり、物音がしなくなるまで息を潜め、その存在を隠そうとしたりするはずである。

 

それが進んで飛び出してくるなんて、ネズミらしさのかけらもない。まずそのことに驚いたので、すぐさま撮影することにしたのだ。捕獲され自由を奪われていることと、明るい場所でずっと人間に見られ続けていることが、一連の行動の妨げになっていない。

 

侵入者は服従のポーズを取らされているように見えたし、先住者は目的を達したのち、我に返ったように侵入者と一緒に新聞紙の下に潜り込んだように見えた。たまたま記録することができた、とても貴重な写真だ。

 

 

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捕獲具開発と驚くべきネズミの習性

捕獲具開発と驚くべきネズミの習性

山﨑 收一

幻冬舎メディアコンサルティング

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