ドブネズミ vs 駆除プロ男~「松山の水産市場」で起きた死闘編

「駆除すべき対象としてしか見ていなかった生き物に対して、ネズミさんたちと呼びたくなるほどに親しみを感じている」「解き明かして得たネズミさんたちの習性が、今後のドブネズミ駆除に役立つのであれば、私にとってこれ以上喜ばしいことはない」――ネズミ捕獲のプロ・山﨑收一氏は書籍『捕獲具開発と驚くべきネズミの習性』(幻冬舎MC)で、そう語っています。

死んだ魚を追いドブネズミが走る!

■餌付け機能を備えた1匹取りの仕掛け

 

まず仕掛けの構造について説明すると、シーソー板を使っている点では前作と同じなのだが、入口から入ったネズミが斜面を登り、水平な金属板を踏んだ時に、その重みで斜面が入口を閉じるように回転するよう工夫を加えた。さらに、長い尻尾が外に出ていても捕獲できるように、二段階で仕掛けがロックするような機能も備えている。

 

そしてこの仕掛けは、中に入って餌を食べても仕掛けがロックしないフリーモードと、中に入ると仕掛けがロックするロックモードの切り替えができるので、 餌付けを行ってから捕獲することができる。

 

しかも、仕掛けがロックする時にほとんど音がしないので、捕獲具を集中させて設置すればネズミを集めて一網打尽にできるはずだと考えた。

 

それまでにもいくつか特許の出願を行っていたが、これは初めて特許を取得できたアイデアである。ドブネズミはもちろん、 クマネズミの捕獲にも成功した仕掛けなので、捕獲例の詳細を次に述べる。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

A 捕獲例1 ドブネズミの場合

 

わが社は松山に支店があったのだが、この時は社員の協力を得て松山の水産市場でテストを行った。海岸近くの広い場所の中央に建物があり、建物内には多くの生け簀(す)が並んでいる。水揚げされた水産物を速やかに加工するための店舗が南側に2列に並んでいて、加工処理が終わった朝方には、戦場の後のように、処理後の水産物の残骸が散らばっていた。

 

それを狙ってウミネコが飛来したり野良猫がうろついたりし ている。目撃例の聞き取り調査を行い、最もドブネズミの目撃例の多い店舗内の冷蔵庫の下に、ドブネズミの巣があるようだと分かった。

 

ドブネズミであると判断した理由の1つは、クマネズミは草食で生魚は食べず、ドブネズミは雑食だからである。

 

落ちている水産物の残骸が餌になるのであれば、ドブネズミに とってこれ以上素敵な環境はない。店の人の話によると生け簀の中に入って魚を追いかけているネズミを見たとの事だ。

 

泳いでいる魚を捕まえる事が出来るとは思えないので、死んだ魚が浮いているのを見つけて、それを食べた事があるのだろう。その味が忘れられないドブネズミがいてもおかしくはない。

 

ドブネズミは配管の中を通って移動するため水中を泳ぐことも平気だが、クマネズミは水を嫌う。便器の中からネズミが顔を出したという話を聞いたことがあるが、これもドブネズミだろう。

 

2009年12月19日、仕掛けを合計25台用意し、目撃例のある場所に分散して設置した。

1945年3月、大阪府豊能郡で生まれる。大阪市在住。 大阪府立大学農学部卒。 過去に出版経験なし。

著者紹介

連載捕獲具開発と驚くべきネズミの習性

捕獲具開発と驚くべきネズミの習性

捕獲具開発と驚くべきネズミの習性

山﨑 收一

幻冬舎メディアコンサルティング

ネズミにも感情がある!? 古くから人は、ネズミを捕獲するためにさまざまな仕掛けを考案してきた。しかしながらクマネズミだけは、そのいずれをもってしてもほとんど捕まえることができずにいる。それは何故なのか。新たな捕…

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