「親が認知症で要介護」という境遇の人は今後、確実に増加していくでしょう。そして、介護には大変、悲惨、重労働といった側面があることも事実です。しかし、介護は決して辛いだけのものではなく、自分の捉え方次第で面白くもできるという。「見つめて」「ひらめき」「楽しむ」介護の実践記録をお届けします。本連載は黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)から一部を抜粋、編集した原稿です。

じーじは危機回避電波を発している?

持ってる男

 

じーじは、強運の持ち主である。というか、命の危機に関わるようなことが起きそうになると、周りの人に助けてもらえる。危機回避電波を発信しているとしか思えないほどである。

 

黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)
黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)

じーじは、脳梗塞を2回起こしているが、1回目は、畑で倒れたところを「関所のおばちゃん」(私が親愛の情をこめて名づけたあだ名)に発見され、すぐに救急車を呼んでいただいたおかげで、後遺症は右目の視野欠損だけで済んだ。2回目は、バスの中。たまたま乗り合わせていた準夜勤ちゃん(私の娘)が気づき、すぐに救急搬送されたので後遺症はなし。

 

自転車で転んだ瞬間をヘルパーさんに発見してもらい助けていただいたり、道端でうずくまっているところをデイサービスの送迎車と遭遇し、家まで送り届けていただいたりと、何度も命の危機を回避しているのだ。

 

台風19号が関東を直撃した日、じーじの強運はまた証明された。

 

その日は私の仕事の都合で、じーじが大嫌いなショートステイにお泊まりの予定だった。前の日から、憲兵だの捕虜になるからと、いつものように「行かなくていいでしょう」オーラを放っていたが、当日あまりの大雨に危機回避電波が働いたのか「この家は浸水するから、俺は避難する」と、私たちに不吉な一言を残してショートステイへ。

 

すると1時間後、自治会の役員さんから「お父さんだけでも早めに避難所に避難させてください」との電話が入った。

 

「父は〇×のショートステイに行ったので」と言うと「あそこは、この地区の高齢者の緊急避難所に指定されているので安心ですね」とのこと。

 

私と準夜勤ちゃんは、築40年のわが家の屋根が吹っ飛ばされないかという心配と、何度も鳴る緊急アラームにびくびくしながら一夜を過ごすことに。じーじがいたら、我々の不安はもっと大きかったに違いない。それを思えば、や、やっぱり、じーじは何か持っている! と思った出来事なのであった。

 

翌日、帰ってきたじーじは、「いやあ、ショートステイは床上2㎝まで浸水してなあ(本当は浸水していない)、入居者さんを4階にあげる手伝いをしたんだよ」とうれしそうなのであった。

 

黒川 玲子
医療福祉接遇インストラクター
東京都福祉サービス評価推進機構評価者

 

 

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認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌

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黒川 玲子

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