認知症父が「台風19号・関東直撃の日」に言い放った凄い一言

「親が認知症で要介護」という境遇の人は今後、確実に増加していくでしょう。そして、介護には大変、悲惨、重労働といった側面があることも事実です。しかし、介護は決して辛いだけのものではなく、自分の捉え方次第で面白くもできるという。「見つめて」「ひらめき」「楽しむ」介護の実践記録をお届けします。本連載は黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)から一部を抜粋、編集した原稿です。

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じーじは大のショートステイ嫌い

ショートステイには憲兵がいる

 

在宅介護での困りごとの一つが、夜の外出。幸いわが家には、準夜勤ちゃん(私の娘)がいるので、予定を合わせてどうにかやりくりをしているが、そうそう準夜勤ちゃんにお願いするわけにもいかない。なのでここ数年、外でお酒を飲む機会がめっきり減ってしまって悲しい。

 

じーじが元気だった頃は、週2回以上のペースで、夜な夜な大宮界隈で大酒をくらい、へべれけになっていた。この頃が懐かしい。夜の外出はまあともかく、最も困るのが、泊まりでどこかに行けないこと。そんな時にはショートステイ*を利用するのだが……。

 

じーじは大のショートステイ嫌い。ショートステイの日が近づくと必ず面白いことを言い出す。

 

じーじは大のショートステイ嫌い。ショートステイの日が近づくと必ず面白いことを言い出すという。(※写真はイメージです/PIXTA)
じーじは大のショートステイ嫌い。ショートステイの日が近づくと必ず面白いことを言い出すという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

「お前は知らないだろうが、あそこには、憲兵がいてな、入るなり身ぐるみをはがされて、囚人服に着替えさせられるんだぞ。おまけに、バッグは接収されるんだ」

 

まあ、着替えが入っているバッグのチェックはするけど、身ぐるみまでははがされないだろう、と思いつつ話を聞いていると。

 

「おまけにな、夜な夜な、職員がきて、電気の工事をお願いしますって、言うもんだから、俺は眠れないんだ」
「じゃあ、夜に電気工事を頼まないでくださいねって言うからね」
「無駄だ。いいか、あそこは治外法権なんだ。誰がなんと言ってもどうにもならんのだ。収容所だからな」

 

治外法権だの収容所だの、ありとあらゆる難癖をつけては行きたくないことをアピールする。

 

まあ、毎回のことなのでやり過ごしていたが、今回はすごかった。当日の朝、ちっとも起きてこない。やっと起きたと思いきや、トイレから出てこない。心配になって声をかけてみると、

 

「便所ぐらい、好きに入らせろ!」と。ご機嫌ナナメ。

 

お迎えがくるまでの間、憲兵だの収容所だの文句を言っていたくせに、ピンポ~ンとチャイムがなり玄関が開いた途端に「お! 今日は館長さん、じきじきのお迎えですか。こりゃあ、VIP待遇だなあ」だって!

 

恐るべし、外ヅラ良夫君なのであった。

 

ショートステイ
要介護者が短期間、施設に入所して食事、入浴、リハビリ、レクリエーションなどを受けられる介護サービスのこと

医療福祉接遇インストラクター
東京都福祉サービス評価推進機構評価者

埼玉県生まれ。博報堂勤務を経て、埼玉県内の介護事業会社勤務。医療福祉接遇インストラクター、東京都福祉サービス評価推進機構評価者。2001年より成長期の大手介護事業会社において、広告宣伝室室長として、社外向けの広報誌の作成、入居者促進業務に携わる。
2015年、株式会社ケー・アール・プランニング設立。編集プロダクションとして介護・福祉を専門とした雑誌の編集を行う傍ら、接遇マナーインストラクターとして、介護付有料老人ホームやデイサービス等で介護の現場に即した研修を行っている。

著者紹介

連載見つめてひらめく介護のかたち「楽しむ介護」実践日誌

認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌

認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌

黒川 玲子

海竜社

わけのわからない行動や言葉を発する前に必ず、じーっと一点を見据えていることを発見! その姿は、どこか遠い星と交信しているように見えた。その日以来私は、認知症の周辺症状が現れた時のじーじを 「認知症のスイッチが入っ…

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