前回は、なぜ不動産会社は「マンション住民同士のコミュニティ作り」に関与したがらないのかを説明しました。今回は、信頼できる不動産会社を選ぶために、どのような点に注目すべきかを見ていきます。

「どの物件か」よりも「誰から買うか」が大事

ここまで、マンションの売り方に隠されたさまざまな問題を取り上げながら、マンションを売る時の広告やセールストークなどを通し、デベロッパーの見極め方を解説してきました。住宅購入は、人生最大の買い物ですから、信頼できる相手から買うのは基本中の基本です。

 

しかしながら、大手の物件を選ぼうとした時点で、たいていの人が相手の会社が信頼できるか否かに関し思考を停止してしまいます。

 

多くの人が「上場企業だから大丈夫」とか、「大手だから多少高くたって仕方ないわ」と納得してしまうようですが、これではあまりにも安易です。大企業でも破綻することがあるのは、これまでの歴史が証明していますし、特に未曾有の景気変動の中ではあり得ないと思う会社が倒産することもあります。

 

それを考えると、デベロッパーの信頼度については、大手・中堅、上場・非上場を問わず厳しくチェックすることが、賢いマンションの選択につながるのです。

社長や社員が自社商品の価値を信じているか?

そこで、まずは具体的にチェックしておきたい点を見ていきましょう。

 

●社員が自社物件を買っているか、社長が自社物件に住んでいるか

 

商品が信用できるかどうかは、その商品を作っている、売っている人間がその商品をどう思っているかで判断します。なぜなら自社製品の特徴を評価し、誇りを持っているなら、社員は自社製品を買うはずだからです。

 

それが社員はおろか、商品の総責任者である社長が自社物件を買っていない場合、あなたはその会社の作る商品を信頼できるでしょうか。

 

自社製品を愛し、常々よくしたいと考えるのであれば、自社製品を利用することで商品設計やサービスを身近に感じ、改善の努力を怠らないでしょう

 

どのような商品もその価値を実感するには、利用することが最良の手段です。と言うより利用しなければわかりません。これはマンションであっても同様です。

 

それなのに、社長が自社物件を買わず、住んでもいないとしたら、そこの会社のマンションの商品開発には、社長の思いが入っていないか、他社追随でもかまわないと考えているかのいずれかでしょう。どちらにしても何か問題があると考えるのが賢明な判断です。

 

漁師も自分の獲った魚は味を見ますし、養殖していれば品質に問題ないか自分自身の体で試します。航空会社の社長は自社のサービスに問題がないか搭乗することで確認するでしょうし、車や家電、飲食業界とすべての社長は製品や味に問題はないか、新しい気付きはないか、日々身をもって確認するはずです。

 

また、社長に限らず、自社のマンションを社員が買わないということは、自社物件への評価が低く、何らかの事情で住みたくないと考えている裏返しですから、そんな物件を勧められて買うのはおかしな話です。

 

高い買い物をするのですから、社長や社員が自社商品の価値を信じ、作り込んでいるか、真剣に仕事に取り組んでいるかということを確認する意味でもこれは重要な項目です。この点は必ず担当の営業マンに質問してみるべきです。

本連載は、2011年3月23日刊行の書籍『本物マンション購入計画』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

本物マンション購入計画

本物マンション購入計画

鈴木 雄二

幻冬舎メディアコンサルティング

人生最大の買い物を間違えたくないと、慎重に選ぶマンション。しかし、誰もがマンション選びの常識と思っている情報が、実は売り手の都合に塗り固められたものだとしたら…。本書の前半では、住み心地よりも効率優先で作られる…

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