AIの利用が広がるにつれ、多くの士業が「定型的で単純な手続き業務はAIに取って代わられかねない」と危機感を強めています。ITやAIの技術革新の波は今後もとどまることはない。とはいえ、打つ手はあると公認会計士・税理士の藤田耕司氏氏は語る。本連載は藤田耕司著『経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部を抜粋し、再編集したものです。

少子高齢化、グローバル化、機械化の3大潮流

日本のビジネスを左右する3大潮流

 

「時代の流れに合ったビジネス展開」は、私が経営コンサルティングで特に重視しているポイントです。

 

藤田耕司著『経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事』(日本能率協会マネジメントセンター)
藤田耕司著『経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事』(日本能率協会マネジメントセンター)

現在、この日本はどのような「時代の流れ」にさらされているのでしょうか。

 

業種業態を問わずその影響を大きく受けるのは、「少子高齢化」「グローバル化」「機械化」の3つです。これらの潮流はそれぞれが密接に連動し、少子高齢化が進めば進むほど労働人口は減り、既存のインフラを回すための人手が不足します。その人手不足の解消のために、外国人労働者の招へいや、業務の機械化や自動化が求められるようになります。

 

大量の人手不足時代に向けて、政府もグローバル化や機械化の政策を進めており、今後さらにこの流れは加速します。ですから、この流れを大筋として押さえて、ビジネスモデルを考えていかなければなりません。

 

それでは、この大きな3つの潮流は士業にどのような影響を与えるのでしょうか。

 

まず、少子高齢化に伴った相続関連ビジネスの増加です。相続税申告、相続税対策、事業承継対策、相続関連の訴訟や交渉、成年後見、信託、遺言の作成、遺品整理などではすでに競争が始まっていますが、今後も相続関連の市場の拡大は見込まれ、多くの士業が目を向けています。

 

グローバル化に関しては、一部の士業を中心に国際業務が行われてきましたが、外国人労働者の受け入れが進み、通信手段や翻訳ツールも進歩していることから、より多くの士業にビジネスチャンスをもたらすことになるでしょう。ただし、参入は決して簡単ではなく、外国語に対する素養や関連法令への豊富な知識、相応の実務経験などが求められます。

 

高齢化やグローバル化によるビジネスチャンスがある一方で、機械化については士業にとっては脅威になる可能性が大きいといえます。この機械化については、以降で詳しくお話しします。

 

藤田 耕司
一般社団法人日本経営心理士協会代表理事
FSGマネジメント株式会社代表取締役
FSG税理士事務所代表
公認会計士、税理士、心理カウンセラー

 

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経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事

経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事

藤田 耕司

日本能率協会マネジメントセンター

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