相続には思わぬ落とし穴があります。その一つが「特別受益」。学費など生前に被相続人から支払われた資金や、生命保険金といった原則遺産には含まれないものが、相続時にトラブルの火種と化すのです。万が一のことが起きないように法律を押さえておきましょう。※本連載は、NPO法人長寿安心会・代表理事を務める住田裕子弁護士の著書『シニア六法』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

【民法】第903条(特別受益者の相続分)

第1項 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、または婚姻、もしくは養子縁組のため、もしくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始のときにおいて有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈、または贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。

 

第3項 被相続人が前2項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思に従う。

 

第4項 婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物、またはその敷地について遺贈、または贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈、または贈与について第1項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。

【改正民法】第1044条(特別受益の算定期間)

第1項 贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、1年前の日より前にしたものについても、同様とする。

 

第3項 相続人に対する贈与についての第1項の規定の適用については、同項中「1年」とあるのは「10年」と、「価額」とあるのは「価額(婚姻、もしくは養子縁組のため、または生計の資本として受けた贈与の価額に限る)」とする。

 

 

書籍の詳細はこちら!
書籍の詳細はこちら!

 

 

住田 裕子

弁護士(第一東京弁護士会)

NPO法人長寿安心会 代表理事

 

 

シニア六法

シニア六法

住田 裕子(監修、著)

KADOKAWA

実は知らない、「いざ」というとき便利な法律。 変わらず多いオレオレ詐欺、近年増える高齢者による交通事故。認知症ならではのトラブルに、介護にまつわるトラブル…。 いざトラブルに巻き込まれたとき、どういう法律が…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録