※本連載は、NPO法人長寿安心会・代表理事を務める住田裕子弁護士の著書『シニア六法』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

親しい友人にダマされることも…「投資詐欺」の手口

多くの人が老後の生活を支える資産について不安を持っている中、少しでも有利な利殖をしたいというのは当然の人情です。投資詐欺の犯罪組織は、そこに付け込んできます。

 

<投資詐欺にはこの条文!>

【金融商品取引法】第29条(登録)

金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない。

 

まず、ダイレクトメールやパンフレットを使ったり、電話をかけてきたりなどします。その名目は、例えば次のとおりです。

 

話題性のある新型コロナ対策事業、オリンピック・パラリンピック関連事業、CO2排出権取引などの環境関連事業、再生エネルギー事業や人の連帯感・共感・同情心等に付け込んだ震災復興事業、確実な情報入手が困難な海外でのリゾート事業や海老養殖事業その他の事業自体やファンドなどの集団投資スキームへの出資

仮想通貨(暗号資産)、未公開株、社債等の販売、コール・オプション権の買取

FX取引(為替差益や金利差による利益配分等の取得を目的とする外国通貨取引)

各種先物取引

 

さらに、「あなただけに提供される」「今だけしか手に入らない」「絶対に儲かる」「元本保証なので安心だ」などと言葉巧みに自信たっぷりに勧誘してくるのが特徴です。

 

事前知識をつけなければ、甘い言葉に騙されて大損することも…
事前知識をつけなければ、甘い言葉に騙されて大損することも…(※写真はイメージです/PIXTA) 

 

金融商品を販売する場合は、「不利益なことをきちんと説明すること」「断定的な言葉(絶対に儲かるなど)は言わないこと」という決まりがあります。また、「あなただけに内密の情報です」のときは、インサイダー情報なら法律違反です。そもそも嘘の情報である可能性も高いでしょう。

 

金融商品取引法では、「有価証券」(他の者から金銭などの出資・拠出を受け、その財産を用いて事業・投資を行い、その事業・投資から生じる収益などを出資者に分配する仕組みに関する権利)の取引業務は、金融商品取引業者でなければできません(金融商品取引法第29条)。

 

こうした勧誘をしてくる業者の登録を確認すれば、無登録であることが大多数だと思われ、金融商品取引法違反が疑われます。そうした事業自体を法律違反の状態で行っている業者の勧誘は、その話の内容が詐欺話であることが強く推定されることは言うまでもありません。

 

また、このような勧誘の中で「元本保証」をうたっているような出資は、出資法(同法第2条第1項)の「預り金」に当たることになります。その場合、銀行など金融業者以外の者が受け入れることはできません。出資金を受け取れば、出資法にも違反します。

 

「その大企業の信用に関わるので、今回のつなぎ融資は秘密裏に行われている」などの話をして情報確認ができないようにするのは詐欺犯人の常とう手段です。「きちんとした情報確認ができない事情のある儲け話は詐欺話」と理解しておきましょう。

 

見知らぬ業者からの勧誘だけでなく、親しい人からの紹介や勧誘であっても、十分注意することが必要です。

 

<その他の条文>

【金融商品取引法】第197条の2(無登録営業の罪)

次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役刑、もしくは500万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する。

 

第10号の4 第29条の規定に違反して内閣総理大臣の登録を受けないで金融商品取引業を行った者

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シニア六法

シニア六法

住田 裕子(監修、著)

KADOKAWA

実は知らない、「いざ」というとき便利な法律。 変わらず多いオレオレ詐欺、近年増える高齢者による交通事故。認知症ならではのトラブルに、介護にまつわるトラブル…。 いざトラブルに巻き込まれたとき、どういう法律が…

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