2020年11月のマーケットの振り返り

三井住友DSアセットマネジメント株式会社が、2020年11月のマーケットについて振り返り、「1. 概観、2. 景気動向、3. 金融政策、4. 債券、5. 企業業績と株式、6. 為替、7. リート、8. まとめ」のそれぞれについて解説します。※本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供するマーケットレポートを転載したものです。

1.概観

【株式】

11月の株式市場は、リスク選好の動きを受けて大きく上昇し、NYダウが史上初の30,000米ドル超えとなるなど総じて好調に推移しました。米国市場は、大統領選挙を通過し、ねじれ議会となる見通しから増税や業界規制の可能性が低下したことや、新型コロナ感染が再拡大する一方でワクチン開発進展のニュースが相次いだことなどが好感され上昇しました。欧州では新型コロナの感染再拡大が深刻化し景気悪化が懸念されるものの、感染ペースの鈍化や欧米企業のワクチン開発進展のニュースなどが支援材料となり、欧州市場は上昇しました。日本市場も日経平均株価が約29年ぶりに終値で26,000円を上回りました。

 

【債券】

主要先進国の国債利回りはまちまちの動きとなりました。米国では、ねじれ議会となる見通しから大規模な財政政策による国債増発懸念は後退した一方、新型コロナワクチン開発進展による経済正常化への期待などから国債利回りが一時上昇しました。しかし、その後は新型コロナ感染再拡大を受けて低下しました。国債と社債の利回り格差は縮小しました。欧州では、新型コロナワクチン開発への期待が高まったことなどから国債利回りが上昇しましたが、追加緩和見通しや景気悪化懸念などから小幅な上昇に留まりました。日本では、欧米に加え国内でも新型コロナの感染が再拡大するなか、利回りはやや低下しました。

 

【為替】

円は米ドル、インドルピーに対してはほぼ横ばい、その他の通貨に対しては総じて下落しました。リスク選好の動きから資源国・新興国通貨が上昇しました。

 

【商品】

原油先物価格は上昇しました。新型コロナのワクチン開発進展のニュースなどから経済正常化への期待が高まったことが背景です。

 

(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
11⽉の市場動向 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

2.景気動向

<現状>

 

米国の2020年7-9月期実質GDP成長率は前期比年率+33.1%となり、改定値に変わりはありませんでした。自動車などの耐久財を中心に戻りが強く、低金利や家計向け支援などが押し上げ要因となった一方、サービス消費は対面型を中心に戻りが鈍く、経済全体の重石となりました。

欧州(ユーロ圏)の2020年7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率+60.5%の大幅増となりました。フランスとスペインでは輸出、個人消費、総固定資本形成が大幅に増加し、上振れ要因となりました。

日本の2020年7-9月期の実質GDP成長率は、前期比年率+21.4%となり、市場予想を上回りました。設備投資は低調ですが、輸出や生産の回復により景気は緩やかに持ち直した模様です。予想を下回ったものの外出自粛が和らいだことにより個人消費に回復がみられました。

中国の2020年7-9月期の実質GDP成長率は前年同期比+4.9%となり、感染への懸念低下で消費が明確に持ち直し、プラスの寄与となりました。政府当局は景気過熱への警戒を強め、景気対策の重点を緊急対応から中長期の安定にシフトしました。

豪州の2020年7-9月期の実質GDP成長率は前年同期比▲3.8%となり、輸出や消費(除くビクトリア州)が大幅に回復しました。

 

<見通し>

 

米国は、大統領選は民主党のバイデン氏が勝利しましたが、上院で共和党多数となった場合、大規模な財政拡張は難しくなると予想されます。足元では新型コロナ感染者数が高止まりしていますが、ワクチンの普及と感染者減少に伴い経済活動は徐々に上向き、景気は改善に向かうとみられます。

欧州は、新規感染の再拡大により各国で行動規制が強化されていることから、20年Q4以降については再び前期比マイナス成長に転じるとみられますが、財政拡張や金融緩和を考慮すると3~4月のように大幅な景気の落ち込みは回避されると予想されます。

日本は、足元の感染再拡大により消費に歯止めがかかると予想されますが、2021年度はワクチン普及の可能性を踏まえ、経済活動抑制が大きく緩和され回復に向かうと見込まれます。金融政策の大幅な変更の可能性は低く、企業支援などの大規模緩和は期限の延長などを行う可能性があると予想されます。

中国は、積極的な財政政策等を背景に10-12月以降も回復が継続するとみられ、来年は労働市場の改善を受けて消費主導の景気拡大が想定されます。

豪州は、政府の追加的な施策やワクチン期待が押し上げ要因となり景気は緩やかに回復していくとみられますが、コロナ禍前の水準を取り戻すのは2021年Q4になると予想されます。

 

(注)データは2016年1-3⽉期〜2020年7-9⽉期。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
⽶国の実質GDP成⻑率 (注)データは2016年1-3⽉期〜2020年7-9⽉期。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

(注)データは2016年1-3⽉期〜2020年7-9⽉期。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
⽇本の実質GDP成⻑率 (注)データは2016年1-3⽉期〜2020年7-9⽉期。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

3.金融政策

<現状>

 

米連邦準備制度理事会(FRB)は大規模金融緩和政策を継続し、ゼロ金利政策を維持しています。9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でフォワード・ガイダンスを導入し、2%の平均インフレ目標の達成を政策金利変更の要件としました。欧州中央銀行(ECB)も金融緩和策を維持しており、10月の理事会では金融政策をいずれも据え置きました。但し、経済見通しのリスクは明確にダウンサイドに傾いたとし、今後の新型コロナ感染再拡大と規制の影響を踏まえ、12月の経済見通し改訂と追加緩和を強く示唆しました。日銀は3月以降、新型コロナ対策として資産買入れ強化、企業金融支援、企業等の資金繰り支援策を拡大する一方、金融政策は6月以降据え置いています。

 

<見通し>

 

主要中央銀行は金融政策を「緊急緩和モード」から「中長期の緩和維持モード」にシフトしています。米連邦準備制度理事会(FRB)は2023年までゼロ金利政策を維持する方針を打ち出しています。新型コロナワクチンの普及を期待しつつもインフレ期待が低いため、2021年1-3月期に資産買入れ対象債券の長期化を検討する可能性があります。欧州中央銀行(ECB)は追加緩和の見通しです。低インフレとユーロ高に対応するため12月の理事会でパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を見直し、再度、延長・拡大すると予想します。日本でも大規模金融緩和を長期継続する見通しで、追加緩和が必要な場合は引き続き資産買入れ強化と企業金融支援を軸に行われるとみられます。

 

(注)データは2018年11⽉1⽇〜2020年11⽉30⽇。⽇本は政策⾦利(参考値)、⽶国はFederal Fund Rate(誘導レンジの上限)、ユーロ圏はECB預⾦ファシリティ⾦利、英国はRepo Rate、豪州はOfficial Cash Rateを使⽤。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
各国・地域の政策⾦利の推移 (注)データは2018年11⽉1⽇〜2020年11⽉30⽇。⽇本は政策⾦利(参考値)、⽶国はFederal Fund Rate(誘導レンジの上限)、ユーロ圏はECB預⾦ファシリティ⾦利、英国はRepo Rate、豪州はOfficial Cash Rateを使⽤。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

4.債券

<現状>

 

主要先進国の国債利回りはまちまちの動きとなりました。米国では、ねじれ議会となる見通しから大規模な財政政策による国債増発懸念は後退した一方、新型コロナワクチン開発進展による経済正常化への期待などから国債利回りが一時上昇しました。しかし、その後は新型コロナ感染再拡大を受けて低下しました。国債と社債の利回り格差は縮小しました。欧州では、新型コロナワクチン開発への期待が高まったことなどから国債利回りが上昇しましたが、追加緩和見通しや景気悪化懸念などから小幅な上昇に留まりました。日本では、欧米に加え国内でも新型コロナ感染が再拡大する中、利回りはやや低下しました。

 

<見通し>

 

米国の10年国債利回りは、財政政策による景気支援が見込まれますが、インフレが落ち着いている他、FRBの緩和継続を受け、当面は低位で推移する見通しです。先行きはワクチン普及への期待を背景とした緩やかなレンジの切り上げを予想します。FRBの資産買入れに関するガイダンスや、来年1月5日の上院決選投票が注目されます。欧州の10年国債利回りは、景気回復や財政拡大が見込まれる一方で、新型コロナ感染再拡大や低インフレ、ECBの追加緩和見通しが抑制要因となり、当面は低レンジでの推移を予想します。先行きはワクチン普及や景気回復期待から緩やかに水準を切り上げるとみられます。EU復興基金、ワクチン効果を考慮し周辺国が選好されやすいと考えます。日本の10年国債利回りは低位での推移を予想します。輸出回復などから経済は緩やかに持ち直しましたが、足元の感染再拡大は懸念材料です。第三次補正予算が大型化すれば金利上昇圧力になりますが、日銀の国債買入れにより影響は限定的とみられます。

 

(注)データは2018年11⽉1⽇〜2020年11⽉30⽇。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
主要国の10年国債利回りの推移 (注)データは2018年11⽉1⽇〜2020年11⽉30⽇。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

(注1)データは2018年11⽉〜2020年11⽉の⽉次データ。 (注2)社債利回りと社債スプレッドはブルームバーグ・バークレイズ・グローバル社債インデックス。先進国国債利回りはFTSE世界国債インデックス(含む⽇本、⽶ドルベース)。 (出所)Bloomberg L.P.、FactSetのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
先進国国債の利回り、社債スプレッドの推移 (注1)データは2018年11⽉〜2020年11⽉の⽉次データ。
(注2)社債利回りと社債スプレッドはブルームバーグ・バークレイズ・グローバル社債インデックス。先進国国債利回りはFTSE世界国債インデックス(含む⽇本、⽶ドルベース)。
(出所)Bloomberg L.P.、FactSetのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

5.企業業績と株式

<現状>

 

S&P500種指数の11月の1株当たり予想利益(EPS)は166.61で、前年同月比▲6.0%(前月同▲8.2%)となりました。予想EPSの水準は5月の142.44を底に6ヵ月連続で上昇しました。一方、東証株価指数(TOPIX)の予想EPSも11月は96.65、伸び率は同▲20.2%(前月同▲23.0%)と、前月の93.95より回復しました(FactSet集計)。米国株式市場は主要指数が史上最高値を更新しました。長期金利の低下からハイテク株が上昇したほか、新型コロナワクチンの開発が進展していることを受け、経済の正常化が進むとの期待から景気敏感株も上昇しました。NYダウは節目である30,000米ドル乗せとなりました。NYダウが前月比+11.84%、ナスダック総合指数が同+11.80%、S&P500種指数が同+10.75%でした。一方、日本株式市場は堅調な米国株式市場に加え、業績の上方修正期待が強まったことが相場を後押ししました。TOPIXは前月比+11.12%、日経平均株価は同+15.04%でした。

 

<見通し>

 

米国では、リフィニティブ(11月30日発表)によれば、S&P500種指数採用企業の10-12月期の純利益の成長率が11月末時点予想で前年同期比▲11.1%と、10月時点の同▲12.1%より若干の上方修正となりました。さらに、21年1-3月期は同+15.1%、4-6月期は同+43.7%、7-9月期は同+13.0%、と21年は2桁の増益が続く見通しです。一方、日本の業績も改善が期待できそうです。純利益は21年が同+32.5%、22年が同+21.1%と大幅な増益が予想されます(FactSet集計。11月30日)。今後、米国では、ワクチンの開発が進み、普及の速度と広がりに対する期待が高まる見通しです。緩和的な金融環境が続く中、経済対策が打ち出されると予想されることも景気・業績の回復をサポートすると考えられ、米国株式市場は堅調に推移すると考えられます。一方、日本株式市場も、米国を中心とした外部環境の好転を背景に大幅な業績の改善が予想されることなどから堅調な推移が続くと期待されます。

 

※EPSとは…[Earnings Per Share]=1株当たり純利益。当期純利益を発⾏済株式数で割ったものです。 (注)データは2010年11⽉〜2020年11⽉。⽉末ベース。EPSは12ヵ月先予想ベース。FactSet集計。  (出所)FactSetのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
EPSと株価指数の推移(⽶国) ※EPSとは…[Earnings Per Share]=1株当たり純利益。当期純利益を発⾏済株式数で割ったものです。
(注)データは2010年11⽉〜2020年11⽉。⽉末ベース。EPSは12ヵ月先予想ベース。FactSet集計。
(出所)FactSetのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

※EPSとは…[Earnings Per Share]=1株当たり純利益。当期純利益を発⾏済株式数で割ったものです。 (注)データは2010年11⽉〜2020年11⽉。⽉末ベース。EPSは12ヵ月先予想ベース。FactSet集計。  (出所)FactSetのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
EPSと株価指数の推移(⽇本) ※EPSとは…[Earnings Per Share]=1株当たり純利益。当期純利益を発⾏済株式数で割ったものです。
(注)データは2010年11⽉〜2020年11⽉。⽉末ベース。EPSは12ヵ月先予想ベース。FactSet集計。
(出所)FactSetのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

6.為替

<現状>

 

円は米ドル、インドルピーに対してはほぼ横ばい、その他の通貨に対しては総じて下落しました。リスク選好の動きから資源国・新興国通貨が上昇しました。円は月前半、新型コロナワクチン開発進展の報道を受けてNYダウが史上最高値を更新したことなどから対米ドルで105円前半まで円安が進みましたが、その後はリスク選好の動きが強まり米ドルが売られたため前月比でほぼ横ばいとなりました。円は対ユーロで下落しました。米ドル安に加え、欧州主要国で新型コロナ新規感染者数の増加ペースが鈍化したことなどからユーロは上昇しました。円は対豪ドルで下落しました。豪ドルはリスク選好の動きや原油価格の上昇が好感され上昇しました。

 

<見通し>

 

円の対米ドルレートは、緩やかな米ドル安傾向を予想します。大局的には米ドル高修正期とみられますが、米景気の底堅さ、ワクチン普及での先行などから米ドル安は緩やかになる見込みです。市場でリスクへの警戒感が高まる際は円が対米ドルで一時的に100円に接近する可能性もありますが、現行水準での動きを想定しています。円の対ユーロレートは、ECBが12月に追加緩和する見通しであることから、ユーロの上昇は一服するとみられます。しかし先行きは、市場のリスク許容度の改善や、財政への期待感などからユーロは徐々にレンジを切り上げると予想します。円の対豪ドルレートは、世界的な景気回復や財政の景気下支え効果が視野に入ってくれば緩やかな豪ドル高になると予想します。RBAの追加緩和が豪ドルの抑制要因となりますが、金利差からみて豪ドルは安値圏にあることに加え、商品市況の持ち直し、経常収支改善などは豪ドルにとって支援材料です。

 

(注)データは2018年11⽉1⽇〜2020年11⽉30⽇。  (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
各通貨の対円レート (注)データは2018年11⽉1⽇〜2020年11⽉30⽇。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

7.リート

<現状>

 

グローバルリート市場(米ドルベース)は、米大統領選が通過したことや、新型コロナワクチン開発で良好な治験結果が得られたことなどを背景にリスク選好の動きが強まり、前月末比11.51%上昇しました。円ベースの月間変化率では、わずかに円高米ドル安となったことから、同11.24%の上昇となりました。

 

<見通し>

 

グローバルリート市場は短期的には上向きも中期的にはレンジでの推移を予想します。米国では、景気は緩やかな回復基調を辿るとみられます。今後は新型コロナ新規感染者数の増加とそれを受けた規制措置が景気回復スピードを押し下げる可能性がある一方、ワクチンの開発と浸透、追加財政政策などが景気回復を加速させる可能性があります。欧州では、一部で新型コロナ感染再拡大により都市封鎖が再導入されたことなどから、金融・財政政策が下支えする中でも今後の景気回復は緩慢なものになると予想します。リート市場は株式市場に比べ出遅れが目立っており、短期的にはワクチンの開発・浸透による景気回復への期待感などから、出遅れ銘柄やこれまで軟調に推移していた欧州リートなどの反発を想定する一方、その後は新型コロナ情勢、業績動向をみながらの一進一退の展開を予想します。

 

(注1)データは2018年11⽉1⽇〜2020年11⽉30⽇。 (注2)⽇本円ベースは2005年1⽉1⽇の⽶ドルベースを基準に指数化。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
代表的グローバルリート指数の推移 (注1)データは2018年11⽉1⽇〜2020年11⽉30⽇。
(注2)⽇本円ベースは2005年1⽉1⽇の⽶ドルベースを基準に指数化。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

8.まとめ

<債券>

 

米国の10年国債利回りは、財政政策による景気支援が見込まれますが、インフレが落ち着いている他、FRBの緩和継続を受け、当面は低位で推移する見通しです。先行きはワクチン普及への期待を背景とした緩やかなレンジの切り上げを予想します。FRBの資産買入れに関するガイダンスや、来年1月5日の上院決選投票が注目されます。欧州の10年国債利回りは、景気回復や財政拡大が見込まれる一方で、新型コロナ感染再拡大や低インフレ、ECBの追加緩和見通しが抑制要因となり、当面は低レンジでの推移を予想します。先行きはワクチン普及や景気回復期待から緩やかに水準を切り上げるとみられます。EU復興基金、ワクチン効果を考慮し周辺国が選好されやすいと考えます。日本の10年国債利回りは低位での推移を予想します。輸出回復などから経済は緩やかに持ち直しましたが、足元の感染再拡大は懸念材料です。第三次補正予算が大型化すれば金利上昇圧力になりますが、日銀の国債買入れにより影響は限定的とみられます。

 

<株式>

 

米国では、リフィニティブ(11月30日発表)によれば、S&P500種指数採用企業の10-12月期の純利益の成長率が11月末時点予想で前年同期比▲11.1%と、10月時点の同▲12.1%より若干の上方修正となりました。さらに、21年1-3月期は同+15.1%、4-6月期は同+43.7%、7-9月期は同+13.0%、と21年は2桁の増益が続く見通しです。一方、日本の業績も改善が期待できそうです。純利益は21年が同+32.5%、22年が同+21.1%と大幅な増益が予想されます(FactSet集計。11月30日)。今後、米国では、ワクチンの開発が進み、普及の速度と広がりに対する期待が高まる見通しです。緩和的な金融環境が続く中、経済対策が打ち出されると予想されることも景気・業績の回復をサポートすると考えられ、米国株式市場は堅調に推移すると考えられます。一方、日本株式市場も、米国を中心とした外部環境の好転を背景に大幅な業績の改善が予想されることなどから堅調な推移が続くと期待されます。

 

<為替>

 

円の対米ドルレートは、緩やかな米ドル安傾向を予想します。大局的には米ドル高修正期とみられますが、米景気の底堅さ、ワクチン普及での先行などから米ドル安は緩やかになる見込みです。市場でリスクへの警戒感が高まる際は円が対米ドルで一時的に100円に接近する可能性もありますが、現行水準での動きを想定しています。円の対ユーロレートは、ECBが12月に追加緩和する見通しであることから、ユーロの上昇は一服するとみられます。しかし先行きは、市場のリスク許容度の改善や、財政への期待感などからユーロは徐々にレンジを切り上げると予想します。円の対豪ドルレートは、世界的な景気回復や財政の景気下支え効果が視野に入ってくれば緩やかな豪ドル高になると予想します。RBAの追加緩和が豪ドルの抑制要因となりますが、金利差からみて豪ドルは安値圏にあることに加え、商品市況の持ち直し、経常収支改善などは豪ドルにとって支援材料です。

 

<リート>

 

グローバルリート市場は短期的には上向きも中期的にはレンジでの推移を予想します。米国では、景気は緩やかな回復基調を辿るとみられます。今後は新型コロナ新規感染者数の増加とそれを受けた規制措置が景気回復スピードを押し下げる可能性がある一方、ワクチンの開発と浸透、追加財政政策などが景気回復を加速させる可能性があります。欧州では、一部で新型コロナ感染再拡大により都市封鎖が再導入されたことなどから、金融・財政政策が下支えする中でも今後の景気回復は緩慢なものになると予想します。リート市場は株式市場に比べ出遅れが目立っており、短期的にはワクチンの開発・浸透による景気回復への期待感などから、出遅れ銘柄やこれまで軟調に推移していた欧州リートなどの反発を想定する一方、その後は新型コロナ情勢、業績動向をみながらの一進一退の展開を予想します。

 

 

※上記の見通しは当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。今後、予告なく変更する場合があります。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年11月のマーケットの振り返り』を参照)。

 

(2020年12月3日)

 

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連載【マンスリー】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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