次に、「当該事情が解消された日」については、
「遺産分割協議において、C(遺言によって財産を受ける者)が、本件遺言について、従前の見解を改め、専門家の見解を紹介して有効である旨主張するようになり、以後の遺産分割協議の継続を行わない意向を示した時点」
であると述べ、この時点から6ヵ月以内に権利行使しなければならないと判断しました。
以上の通り、この裁判例は、被相続人死亡後10年を経過した場合でも遺留分の請求が可能な場合があることを示しましたが、他方で、「遺留分減殺請求権を行使することを期待できない特段の事情」と、「当該事情が解消された日」については、具体的にはどのような場合が該当するのかは個々の事案によって判断されるものであり、今後のさらなる裁判例の集積が待たれるところです。
※本記事は、北村亮典氏監修「相続・離婚法律相談」掲載の記事を転載・再作成したものです。
北村 亮典
こすぎ法律事務所 弁護士
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