「長男に全てを…」開封された父の遺言書で、兄弟が骨肉の争い

相続発生時、遺言や遺書の有効性についてトラブルが発生するケースが多発しています。知識を身につけ、もしもの時に備えましょう。今回は、被相続人死亡時から10年以上経過した場合であっても、遺留分減殺請求権が行使できるのか、見ていきます。

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「開封された形跡がある遺言書」は本当に有効なのか?

Q.父が亡くなり、相続人は長男の兄と次男の私の二人です。父の死亡後に、兄にすべての遺産を相続させる、という内容の父の自筆遺言書が出てきました。

 

遺言書は封筒に入っていましたが、封筒は開封された跡がありました。そこで、この遺言書の効力について町の相談会で司法書士に相談したところ

 

「この遺言は、封が開封されているため、遺言としての効力はない」

 

といわれました。そのため、私も兄も、遺言は無効なものと考え、兄と遺産分割協議をすることとなりました。

 

しかし、その後、なかなか話し合いがまとまらず、そのうち兄との対立が先鋭化し、父の死亡から10年以上が経っても協議が成立しませんでした。すると、ある日、兄が私に対して

 

「やっぱりこの遺言は有効だから、遺言に基づいて俺が全部遺産をもらう」

 

といってきました。

 

そこで、改めて専門家に相談したところ

 

「封が開封されていても遺言書は有効である」

 

といわれました。

 

そうなると私としては遺留分の請求をしなければならないと思い、専門家に相談したのですが、専門家からは

 

「民法の規定で、遺留分の請求は、被相続人が死亡してから10年を過ぎると一切できない」

 

といわれてしまいました。とても理不尽に感じていますが、私はどうしようもないのでしょうか。

 

できることは何もないのか…(画像はイメージです/PIXTA)
できることは何もないのか…(画像はイメージです/PIXTA)

 

A.遺留分の請求について、民法1042条は、

 

①減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。

②相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。

 

と定めています(①、②は筆者による)。一般的な事例では、上記の①の期間制限が1年間と短いため、この期間を超えないように気をつけて対応するということがまず第一です。

遺留分を侵害する遺言書などが見つかった場合…

たとえば、遺留分を侵害する遺言書などが見つかった場合には、遺言書の存在を知ったときから1年以内に内容証明郵便で遺留分の請求を行い、その後に協議、さらに調停、訴訟という流れで紛争が進んでいくこととなります。

 

もっとも、上記②で規定されている通り、被相続人が死亡してから10年が経った場合は、遺留分の請求はできない、と定められています。要するに、被相続人死亡後、おそくとも10年以内に訴訟提起して遺留分の請求をしなければならないのです。

 

遺留分の請求がいつまでも可能であるとすると、法律関係が不安定な状態が続くため、このように10年という最長期間を定めているのです。

 

 

こすぎ法律事務所 弁護士

慶應義塾大学大学院法務研究科卒業。神奈川県弁護士会に弁護士登録後、主に不動産・建築業の顧問業務を中心とする弁護士法人に所属し、2010年4月1日、川崎市武蔵小杉駅にこすぎ法律事務所を開設。

現在は、不動産取引に関わる紛争解決(借地、賃貸管理、建築トラブル)、不動産が関係する相続問題、個人・法人の倒産処理等に注力している。

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