メルカリの資産に「現金及び預金と預り金」が多いワケ
いかがでしたか? メルカリは、ほとんど設備投資を必要としないビジネスなのですが、それはメルカリの展開しているビジネスモデルに理由があります。
メルカリの場合、ユーザーが商品を販売すると、販売した金額(=売上金)がメルカリの中でポイントとして貯まります。これは、手数料を払って振込をしてもらう(現金化)こともできれば、メルカリ内で商品を買うために使うこともできます。
この現金化は手数料がかかるため、ユーザーはある程度まとまった金額になった段階で振込申請などを行います。このタイムラグにより預り金が発生するので、「メルカリに現金が貯まりやすい」ビジネスモデルになっているのです。
実際にメルカリの貸借対照表を見てみると、現金及び預金と預り金が大きくなっていることがわかるでしょう(図表5)。
実店舗をもつため、B/Sの大部分が「固定資産や商品」
次にブックオフのB/Sの内訳を詳しく見てみると、リアル店舗があるために、固定資産や本などの商品がB/Sの資産の大部分を占めるようになっているのがわかると思います(図表6)。
図表6で言うと、「商品」は店舗の本などのこと。「有形固定資産」は店舗や商品を保管しておく倉庫など、「差入保証金」は敷金などが該当します。
2社の違いをまとめると、その違いは歴然です(図表7)。
同じ中古販売をベースにした企業でも、ビジネスモデルは全く異なっていますね。極端な言い方をすれば、ブックオフは小売業でメルカリはIT業です。
クイズ中でも学生くんが指摘していたように、IT業は、基本的にメルカリのように固定資産が少ない(設備投資が少ない)というのは、よくある事例なので覚えておくとよいでしょう。
一見同じビジネスを展開している企業同士であっても、ビジネスモデルによって必要な資産の種類は異なります。
普段私たちが利用しているだけでは見えてこない、「その企業はどんな資産を持っているのか」を考えるのが今回のポイントでした。
<IT業は固定資産が小さくなる?>
IT企業はパソコンさえあれば仕事ができてしまうので、固定資産は小さくなる傾向にあります。逆に、製造業などモノを作るのに設備が必要なビジネスは、固定資産が大きくなる傾向にあります。
「その企業がビジネスをする上で何が必要なのか?」を考えながらB/Sを見ると、景色が変わるかもしれません。
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