「親が認知症で要介護」という境遇の人は今後、確実に増加していくでしょう。そして、介護には大変、悲惨、重労働といった側面があることも事実です。しかし、介護は決して辛いだけのものではなく、自分の捉え方次第で面白くもできるという。「見つめて」「ひらめき」「楽しむ」介護の実践記録をお届けします。本連載は黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)から一部を抜粋、編集した原稿です。

「認知症の症状はゆるやかに進行」という定説だが

徘徊防止のひと工夫

 

「認知症の症状はゆるやかに進行する」という定説があるが、父の症状は、診断を受けてからの1か月間、新幹線のぞみばりのスピードで進行している。

 

黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)
黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)

昼と夜が逆さまの状態が続いているので、日中はデイサービスでほとんどお昼寝状態らしい。夕飯の最中も、静かだなあと思うと、箸を片手に爆睡なんてこともしばしば。

 

「じーじ起きてください」と言おうものなら「いつ寝てた! 起きているにきまってるじゃないか」と反撃をするありさま。

 

しかし、夜になると急に元気になりにわかに認知星人に変身し「皇室会議があるから参加する」といって外出を試みる。

 

「夜だから、明日の朝にしようよ」
「この資料を届けなくてはいけないのだ」

 

と、なにやら紙袋を手にして言うことを聞いてはくれない。「天皇陛下様が、今日の皇室会議は中止になりましたので、ご自宅にいてくださいと言っています」と言うと、一旦は納得するが、数時間後には脱出(徘徊)を試みる。不審な物音に気づき、3度ほど、寸前のところで捕獲(保護)したものの、このままでは、真夜中に本当に皇居に行かれてしまいそう。

 

そこで! 脱出(徘徊)回避方法をあみだした。ドアのちょうつがいを結束バンドで留める。この方法なら、鍵を開けても、ドアは開かない。

 

まずは、キッチンのドアを留め、準夜勤ちゃん(私の娘。私が寝てからは、娘がじーじの面倒を見てくれているので、わが家では準夜勤と呼んでいる)が帰ってきたら、同じ方法で玄関のドアをロック!

 

徘徊防止装置は様々あるが、購入するには高額だし、工事が必要なものもある。介護保険を利用したレンタルもできるが、介護保険の点数を使いきっているわが家では、自費でのレンタルになるため価格的に厳しい状況。

 

しかし! 結束バンドならいっぱい入っていて100円! これでしばらくは、わが家の夜は安心! ただし、この方法は、家族でも高齢者虐待防止法の拘束になることもあるのでご注意を。

 

黒川 玲子
医療福祉接遇インストラクター
東京都福祉サービス評価推進機構評価者

 

 

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認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌

認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌

黒川 玲子

海竜社

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