2020年9月分「機械受注」のデータの分析

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

9月分機械受注(除船電民需)は前月比▲4.4%と3ヵ月ぶりの減少に

 

但し、内訳は製造業・前月比+2.0%、非製造業(除船電民需)・前月比+3.2%と増加

 

9月分の基調判断は2ヵ月連続して「下げ止まりつつある」で据え置き

 

10~12月期見通し前期比▲1.9%。6四半期連続で減少続く見込み

 

 

●9月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は▲4.4%と3ヵ月ぶりの減少になった。一方、3ヵ月移動平均は前月比+0.6%で6ヵ月ぶりの増加になった。また、機械受注(除船電民需)の前年同月比は▲11.5%で10ヵ月連続の減少になった。

 

●機械受注(除船電民需)の大型案件をみると、前回8月分の大型案件は0件であったが、今回9月分では通信業で通信機1件があった。

 

●9月分製造業の前月比は+2.0%と2ヵ月ぶりの増加だ。9月分の製造業では17業種中、8業種で増加し、減少は9業種だった。

 

●9月分非製造業(除船電民需)の前月比は+3.2%と2ヵ月ぶりの増加になった。電力業は前月比▲28.6%の減少であったが、9月分の船舶・電力を含む非製造業全体では前月比+12.1%と2ヵ月ぶりの増加になった。非製造業12業種中、7業種が増加で5業種が減少となった。

 

●9月分では内訳の製造業の前月比と非製造業(除船電民需)の前月比は増加であったが、機械受注(除船電民需)の前月比は減少になった。それぞれの系列で季節調整を掛けているからである。

 

●大型案件は、前回8月分は10件であった。内訳は、民需が4件。非製造業の電力業3件(火水力原動機1件、原子力原動機2件)、運輸業・郵便業1件(船舶1件)。官公需が1件。その他官公需1件(その他産業機械1件)。外需5件(火水力原動機2件、化学機械2件、航空機1件)であった。今回9月分は12件であった。内訳は、民需が4件。非製造業の電力業2件(発電機1件、原子力原動機1件)、運輸業・郵便業1件(船舶1件)と前述の通信業(通信機1件)である。官公需が4件。防衛省(航空機1件)、地方公務2件(その他産業機械2件)その他官公需1件(その他産業機械1件)。外需4件(電子計算機等1件、船舶3件)であった。

 

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は9月分前月比+2.7%と4ヵ月連続の増加となった。前年同月比は▲13.4%と17ヵ月連続の減少になった。

 

●外需は9月分前月比▲16.7%で3ヵ月ぶりの減少になった。前年同月比は▲6.4%と8ヵ月連続の減少になった。

 

●内閣府の基調判断の推移をみると、19年9月分では「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」という判断に下方修正された。その後10月分ではさらに下方修正され、18年12月分~19年3月分以来の「機械受注は、足踏みがみられる」という判断になった。11月分・12月分・20年1月分、2月分、3月分と、「機械受注は、足踏みがみられる」という判断であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きく出た4月分では「機械受注は、足元は弱含んでいる」という判断に下方修正され、5月分では判断据え置きになった。6月分では「機械受注は、減少している」という判断に下方修正され、7月分では判断据え置きになった。前回8月分で「機械受注は、下げ止まりつつある」に上方修正され、今回9月分で据え置きになった。

 

●機械受注(除船電民需)10~12月期の前期比見通しは▲1.9%である。10~12月期の前期比実績は見通しに使う達成率の計算方法を変えた09年(平成21年)から昨年の11年間でみると、上振れ7回、下振れ4回であり、やや上振れしやすい傾向がある四半期である。20年(令和2年)の見通しは単純集計値に過去3四半期平均の達成率89.5%をかけたものである。10~12月期の前期比見通しの▲1.9%を達成するためには、10月以降の各月分が前月比+0.6%必要だ。多少の上振れはあっても、新型コロナウイルス感染症の動向が不透明な中、6四半期連続の前月比減少になる可能性が大きそうだ。

 

 

●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・DIの今年の動きをみよう。20年1月の現状判断DIが52.8(同9人)と18年12月分の55.0以来の50超となった。当時の設備投資関連・現状判断DIからは底堅さが感じ取れるようになってきていた。しかし、新型コロナウイルスの影響で現状判断DIは4月10.0(同5人)へと急落した。4月を底にその後、緊急事態宣言解除もあり、9月は47.5(同10人)と持ち直してきていたが、10月は46.8(同8人)に低下した。10月のコメントには「新型コロナウイルスの影響により客先業界での設備投資がほとんどなく、売上がほぼない状態で非常に悪い状況である。」(東海、電気機械器具製造業〔経営者〕)といった厳しいものがあった。

 

 

●一方、設備投資関連・先行き判断DIは19年11月には51.6(同16人)と1月以来の50超に戻ったが、そこから下落した。20年4月は18.8(同8人)と弱含んだ。新型コロナウイルスの影響によるところが大きい。4月をボトムに持ち直し、一進一退状態もあったが、9月に45.5(同11人)まで戻した後、10月は41.1(同14人)に低下した。10月では「欧米で新型コロナウイルスが再び感染拡大している状況で、設備投資意欲が高くなるとは予測し難い。」(北陸、一般機械器具製造業〔総務担当〕)というコメントに代表されるように、コロナ禍で将来を見据えての何らかの対応はしなければならないが、先行き不透明感は強く、現状は設備投資環境としては難しい状況にあろう。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年9月分「機械受注」のデータの分析』を参照)。

 

(2020年11月12日)

 

宅森 昭吉
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
理事・チーフエコノミスト

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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