「投資信託」は医師に向いているか?
投資信託とは、投資家から集めたお金をひとまとめの資金として、投資の専門家が株式や債券などに運用する商品です。運用成果は投資家それぞれの投資額に応じて分配され、運用状況は定期的に発行されるレポートで把握することができる仕組みになっています。
投資信託のメリットには次のようなものが挙げられます。
メリット1 投資のプロが運用
経験、知識ともに豊富な運用のプロが、各商品の運用方針にしたがって投資先の選択から取引までを行ってくれます。勉強や取引をする時間が短縮されるため、知識のない人や多忙な人には魅力的な商品といえます。
メリット2 リスクを分散
投資信託は国内株式、新興国株式、海外債券といったように各商品の運用方針にしたがって、複数の運用先に投資されます。一つの銘柄だけに投資した場合、その企業が倒産したり株価が下がったりすると大きな損失を負うことになりますが、複数の銘柄に分けて投資をするので値下がりのリスクを分散することができます。
メリット3 少額で投資が可能
株式投資は購入に必要な最低株式数「単元株数」が定められているため、ある程度の資金がなければ株を買うことができません。たとえばトヨタ自動車の株価は2016年4月現在、5900円前後で単元株数は100株となっているので、最低59万円ないと買えないことになります。ところが投資信託なら1万円からでも投資が可能です。つまり、個人では無理だったトヨタ自動車株の利益を得ることができるのです。
買付手数料、信託報酬などのコストが発生
一方、投資信託のデメリットには、次のようなものが挙げられます。
デメリット1 コストがかかる
投資信託は資産運用をプロに任せる商品です。そこには当然、手数料などの費用が発生します。主な費用には次のようなものがあります。
買付手数料:投資信託を購入する際に支払う手数料
信託報酬:投資信託の運用にかかる費用
信託財産留保額:投資信託を信託期間の途中で換金する際の証券売却にかかる費用
これらの費用は販売会社によって異なりますので、商品を選択する際は、過去の運用実績と同時に吟味しなければなりません。
元本保証がなく、ものによっては粗悪な商品も・・・
デメリット2 元本保証がない
株式同様、投資信託にも元本保証がありません。いくらプロが運用しているといっても、その運用成績は市場動向によって左右されます。バブル崩壊やリーマン・ショックなどの大暴落があれば、リスクヘッジは不可能に近いでしょう。
デメリット3 商品によっては信頼できないものもある
投資信託と一言でいってもその中身は千差万別です。利益が出るものもあれば、損をするものもある――。なかにはリーマン・ショックの引き金となった、サブプライムローンの債権を組み込んだ粗悪な商品もありました。
運用によって生じた損益は、それぞれの投資額に応じてすべて投資家が受け入れることになります。ですから「プロに任せているから安心」といった姿勢のままではいけません。株式同様に常に運用状況をチェックし、その運用方針が時流に合っていないと判断すれば、買い替えの検討が必要となるのです。したがって、こちらも多忙な人には向いていない投資商品といえます。