為替の変動を見定めて売買、為替差益を狙うFX
FXとは、Margin Foreign Exchange Tradingの略で、日本語では外国為替証拠金取引と呼ばれています。内容としては、外国の通貨を購入し、価値が上がったところで売却して利益を得るという、為替レートの差を利用する取引です。たとえば1ドルが100円のときに10万円で1000ドルを買って、1ドルが110円になった時点で売ると11万円、1万円の利益が得られます。
外貨預金と似ていると思う人がいるかもしれませんが、外貨預金が外国の高い利息を狙うのに対して、FXは為替の変動を見定めて売買する為替差益を狙います。そのため24時間取引が可能になっています。
レバレッジ効果があり、24時間の取引も可能
FXのメリットには次のようなものがあります。
メリット1 レバレッジ効果を利用できる
FXの最大の魅力は、レバレッジ効果を利用できることです。レバレッジとはテコの原理のことで、自己資金に対して25倍までの取引が可能です。たとえば自己資金が4万円でも100万円分の取引ができるので、1割の利益が出れば10万円を得ることになります。
メリット2 24時間の取引が可能
日本の株式市場の取引時間は平日の9時から11時30分(前場)と12時30分から15時30分まで(後場)となっています(東京証券取引所は15時まで)。一方でFXの場合は、土日を除き24時間取引が可能です。日本が祝日でも海外市場が開いていれば取引ができます。自分のライフスタイルに合わせて、いつでも取引ができるのです。
高レバレッジを利用できる分、損失額も大きくなる
一方、FXのデメリットは次のようなものがあります。
デメリット1 自己資金がゼロになる可能性
25倍のレバレッジ効果を利用できるということは、損失割合も25倍になる可能性があるということです。自己資金100万円で100万円の取引(レバレッジ1倍)をして、99万円で売却した場合、損失割合は1%ですが、自己資金4万円で100万円分の取引(レバレッジ25倍)をして、99万円で売却した場合、損失額は同じ1万円でも損失割合は25%となります。
では、4万円以上の損失が発生した場合は借金を背負うことになるのかといえば、そんなことはありません。投資口座に入っているお金がゼロになった時点で強制ロスカットというシステムが働き、取引は終了になります。したがって、気が付かない間に借金を背負っているという事態になることはありません。とはいえ、自己資金がゼロになる可能性は多分にあるため、注意が必要です。
デメリット2 上がることのない資産価値
FXの資産価値は、今回紹介する投資のなかで唯一、経済成長と連動しません。なぜならこの取引は2国間の通貨交換比率の差を利益とするものなので、資産自体の価値が上がることがないからです。
仮にこれから日本経済が急成長したとしても、一方の国の景気がさらによかったり、金利が高かったりした場合、通貨の交換比率の差は生じることがなく利益は見込めません。為替レートは双方の国の事情があってのものなので、成長している国の通貨価値が必ずしも上がるわけではないのです。
したがって、FXは株や不動産といったほかの資産のように長期間の所有がイコール価値のアップとはなりません。
株式と同様、値動きについていけるのはトレーダーだけ
デメリット3 急変する相場
FXの広告には「1日で50万円の利益」といった、短期間で儲けた経験談が目立ちます。短期間で儲けられるということは、それだけ値動きが早いということです。
為替レートは24時間刻々と変化します。アメリカの経済状況を示す指標が突然発表されれば、就寝中だろうと仕事中だろうと皆さんがレートを確認できない間に相場が急変する可能性が常にあるのです。そのことを気にしはじめたら、いつでもどこでもソワソワと心が落ち着かず、寝不足になったり仕事に集中できなくなったりと、日常生活に支障が出るのではないでしょうか。
FXも株式と同様、値動きについていけるのは知識が豊富で時間的にも余裕がある専業トレーダーだけです。医師としての仕事をやり続けることが前提の人には、対応が非常に難しい投資と言わざるを得ません。