ウェブマーケティング業界は楽して儲けようという人が多いと指摘するのは後藤ブランド社長の後藤晴伸氏だ。「高い費用をかけても売り上げは伸びなかった」「報告書を読んでも、担当者に聞いても何をしているのかわからない」「契約したとたん対応が悪くなった」……。同業者にとって耳の痛いウェブマーケティングの実態を暴き、本当の魅力を伝える。本連載は後藤晴伸著『増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番』(幻冬舎MC)の抜粋原稿です。

広告コストが増えれば、手数料も増える

リスティング広告ではキーワードに注意

 

リスティング広告は、グーグルの検索画面に配信する「グーグル広告」と、ヤフーの「ヤフー広告」が二大勢力となっています。検索した人が広告をクリックするごとに広告料金がかかります。クリック単価は入札で決まり、多くの人たちが検索に使うようないわゆるビッグワードになるほど単価が上がります。

 

当然ながら、広告が出るキーワードの選択が運用のポイントになります。運用スキルがない広告代理店の場合、関係性の薄いキーワードで検索された際に広告が掲載され、無駄にクリック料金を垂れ流していたりします。そこは広告代理店に任せっきりではなく、設定の前にキーワード候補のリストをもらって確認しておかないといけません。

 

また、リスティング広告のキーワード設定には、完全一致、フレーズ一致、部分一致、絞り込み部分一致という4つのタイプがあります。

 

完全一致は、設定したキーワードとまったく同じように入力した場合のみ広告を配信します。露出量は少なくなりますが、ターゲットをピンポイントでキャッチしやすくなります。フレーズ一致では、設定したキーワードの前後に別のワードが入っている場合も含めて配信します。たとえば「美容室原宿」というキーワードを設定したとすると、「安い美容室原宿」や「美容室原宿駅近」とユーザーが検索したときにも広告が出ます。

 

絞り込み部分一致とは、次に説明する部分一致を絞り込んだものです。たとえば「+ハワイ+旅行」とキーワードを設定すると、「ハワイ」「旅行」の両方を含む検索をしたときに広告が表示されます。検索されたキーワードの順番は問いません。設定したキーワードが検索語句に含まれていなければ広告が表示されないので、運用したい意図から外れたところに広告が出てしまうおそれが少ないといえます。使い勝手がよいので、ここ最近多用されるようになっています。

 

4つのうちで最も扱い方が難しいのが部分一致です。これは設定したキーワードとひとつでも重なる言葉があると広告が掲載されてしまう可能性があります。「マンションリフォーム」というキーワード設定だと、「マンション販売」や「戸建リフォーム」といったキーワードで検索した時にも広告が掲載される可能性があるので、、本来の目的から外れた人にも次々と広告が配信されて、コンバージョンにつながらないクリックが増えて料金がかさんでしまいます。

 

このキーワードで検索したときには広告を出さないようにするという除外設定もできます。ただ除外するキーワードがどんどん増えていくので、設定の手間が大変です。

 

ほとんどの広告代理店は、放っておくと部分一致でキーワードを設定します。広告コストが増えれば増えるほど、それだけ自分たちの手数料も増えます。しかしクライアントにとってはマイナスになります。

 

ただ、広告を出す範囲を広くとるために、あえて部分一致で設定するケースもなくはありません。ですから「キーワードは部分一致で設定していませんよね?」と一度聞いてみるといいでしょう。もし使っていたら「理由はなぜですか」「それで費用対効果が合うんですか?」と尋ねましょう。

 

そこまで突っ込んで追及されるとは想定していなくて、あわててしまう広告代理店の担当者もなかには出てくるでしょう。

 

後藤 晴伸
後藤ブランド 社長

 

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増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番

増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番

後藤 晴伸

幻冬舎メディアコンサルティング

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