
「親が認知症で要介護」という境遇の人は今後、確実に増加していくでしょう。そして、介護には大変、悲惨、重労働といった側面があることも事実です。しかし、介護は決して辛いだけのものではなく、自分の捉え方次第で面白くもできるという。「見つめて」「ひらめき」「楽しむ」介護の実践記録をお届けします。本連載は黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)から一部を抜粋、編集した原稿です。
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「どうにかならなかった」認知症の父親の介護
父がアルツハイマー型の認知症と診断された時、ショックを受けなかったわけではないが、認知症に対して、ある程度知識を持っていたので「あっちゃ~! やっぱりね」くらいの気持ちだった。もともと能天気な性格なもので、「どうにかなるでしょ」と、これから先のことに関して何も考えていなかった。
しかし、現実は甘くなかった。
「認知症の症状は緩やかに進行する」というが、父の場合はたった3日間の入院がきっかけで、新幹線のぞみばりのスピードで進行した。退院後は洋服の着替え方がわからなくなり、朝、パンツ一丁で立ちつくしていたりした。おまけに、日に何回も突然わけのわからないこと(私にとっては)を言っては、激しい口調で怒るようになったのだ。

なだめようとして(この考え方が上から目線でよくないのよね)いろいろ言うと、ますます怒り、しまいには机をバンバン叩く。言い方は悪いが、まるで子供がダダをこねているふうなのである。子供が相手なら「ママの言うことを聞かないと、お巡りさんに警察に連れていかれちゃうわよ」(子供の頃、私はこのセリフをよく言われた)とでも言えば、泣きながら「いやだ~、わかった~」となるだろうが、相手は91歳の父親。そんな子供だましが通用するわけもない。おまけに父は弁が立つので、ちょっと否定的なことを言おうものなら、100倍返しをくらうのである。
頭の中では、「認知症の人が言うことやすることを否定してはいけません」とわかっているものの、いちいち父の言動にイラッとし、ついつい「何してるのよ?」、「な~にわけのわからないことを言ってるの」、挙句の果てには「よけないことしないでよ」とまで言ってしまう。その後、「しまった。なんてことを言ってしまったんだ」と落ち込むのだが、落ち込んだ私を見て「今がチャンス」とばかりにますますパワーアップして、攻撃を仕かけてくる。
こんなふうなので、当時のわが家は毎日が戦闘態勢。暗い暗黒の世界だった。
しかし、父は一日中怒っているわけでもないし、わけのわからんことを言っているわけでもない。これには何かきっかけがあるのではないかと思い、父の様子を観察することにした。すると、ある行動がきっかけで、「普通の父」が「ちょっとおかしなじーじ」になることを発見したのだ。
その日から、私は「ちょっとおかしなじーじ」を認知星から来た、「認知星人じーじ」だと思うことにした。
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