2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になります。30~50歳の子どもたちが直面する「親の介護」問題は、深刻化していく一方です。在宅介護、老人ホーム…選択肢はいくつか考えられますが、まずはプロとして介護に携わっている人の声を聞き、将来に備えましょう。本記事では、地域福祉の発展に貢献する、社会福祉法人洗心福祉会の理事長・山田俊郎氏が、介護業界の現状を解説します。

「あの態度の悪い職員を辞めさせなさい!」

そのほか、介護現場では利用者同士のいさかいが起こり、それを仲裁しようとした介護職員に矛先が向けられるケースもよくあります。

 

 

たとえば、ある施設の女性利用者は何でも自分が一番でないと気がすまない性格で、ほかの利用者を批判するような言動が目立っていました。あまりにも失礼な態度を見かねて介護職員が口頭で指摘したところ、女性は逆上して「あの態度の悪い職員を辞めさせなさい!」と騒ぎ立て、長々とクレームを申し立てる事態になってしまいました。

 

残念なことですが、これに似た事例はたくさんあります。

 

また、介護の現場で問題視されていることのひとつに「パワハラ・セクハラ問題」もあります。全国労働組合総連合の「介護施設で働く労働者のアンケート調査」によると、セクハラを受けたと答えた人のうち8割近くが「利用者から」と答えています。全体としては決して多い数字とはいえないかもしれませんが、それでも日常的なハラスメントに悩む職員がいる現状がうかがえます。

 

介護の現場では入浴や排泄の介助など、利用者と介護職員で身体を密着させなければならない場面が多く、利用者が誤解してしまうこともあります。しかも、こうした問題は女性職員だけの問題ではありません。男性職員が女性の利用者から言い寄られる場合もあります。うまく受け流すことができればよいのですが、積み重なると介護職員にとって精神的なストレスになることは間違いありません。

 

利用者や家族を敵に回すように感じ、報告しづらいものですが、何かあったときには上司に相談することが重要です。入浴や排泄の際は利用者と同性の職員が対応するなど、さまざまな対応策があります。

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山田 俊郎

幻冬舎メディアコンサルティング

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