2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になります。30~50歳の子どもたちが直面する「親の介護」問題は、深刻化していく一方です。在宅介護、老人ホーム…選択肢はいくつか考えられますが、まずはプロとして介護に携わっている人の声を聞き、将来に備えましょう。本記事では、地域福祉の発展に貢献する、社会福祉法人洗心福祉会の理事長・山田俊郎氏が、介護業界の現状を解説します。

「身だしなみ」や「あいさつ」で関係性は大きく変わる

実際には、利用者や家族とのコミュニケーションには、難しいテクニックは必要ありません。言葉づかいや基本的な身だしなみに気をつけるだけで、安心感を与えることができます。

 

 

◆基本の言葉づかいだけで、関係性が変わる!

 

介護の仕事はサービス業に分類されます。サービスのことを「接遇」と言い換えることがありますが、「遇」にはもてなすという意味があります。

 

しかし、介護の仕事における「接遇」とは、決してホテルや高級料理店のように過剰なサービスをする、という意味ではありません。相手に対してへりくだるのではなく、身だしなみやあいさつなど、日常の立ち居ふるまいに気を配ること、つまり、基本的なマナーを身につけることが大切なのです。

 

私の法人の施設では、「接遇委員会」を立ち上げ、基本的なマナーの周知を徹底的に行っていますが、そこで特に徹底しているのが「言葉づかい」です。たとえば、申し送りやカンファレンスなどの時間や改まった書面においては、利用者のことは「ご利用者様」、家族のことは「ご家族様」と呼ぶことを徹底しています。サービスを受ける人は「お客様」だからです。

 

① 利用者のことは「名字+さん」で!

基本的に、利用者の名前を呼ぶ際は「おばあちゃん」「おかあさん」「◯◯ちゃん」などくだけた呼び方ではなく、名字で呼んでいます。書面など文書に残す場面では、名字に「様」をつけます。

 

② あいさつは徹底する

「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」「ありがとうございます」といったあいさつをいつも徹底します。当たり前のことのように思えますが、当たり前を当たり前に行うことは意外と難しいものです。さらにあいさつにプラスして、「おはようございます。今日は○の日ですね」などと、利用者自身が話しかけられていると感じるようなひとことを添えます。家族にも同様で、「いつもありがとうございます」とひとこと加えるだけでも親しみやすい印象を与えるのです。

 

あいさつの例
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山田 俊郎

幻冬舎メディアコンサルティング

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